「まずは国を越えた交流を」 日米学生会議にかける情熱

 「大学生活」というと、どのようなイメージをお持ちだろうか。おそらく学内のサークル活動やアルバイト、資格試験の勉強などに熱中する学生の姿を想像される方がほとんどだろう。しかし中には、年に一度の国際交流イベントのために汗を流す者もいる。第61回日米学生会議の日本側実行委員長を務める松本秀也さん(商3)は、そんな塾生の一人だ。
 「学生の視点で、学生のための会議を創っている。自分も学べることは大きい」
 日米学生会議は、今年で75周年を迎える国際交流イベント。日本とアメリカで毎回交互に開催され、双方から同数の学生が参加し、およそ一カ月間にわたって共同生活を送りながら、分科会ごとに討論やフィールドワークなどを行う。歴代のOB・OGには、元内閣総理大臣の故宮澤喜一氏、猪口邦子衆議院議員、ヘンリー・A・キッシンジャー元米国国務長官といった政治家のほか、茂木健一郎氏(脳科学者)やグレン・フクシマ氏(エアバス・ジャパン社長)など、各界のそうそうたる面々が並ぶ。「自分と同年代の学生だけではなく、様々な分野で活躍するOB・OGと世代を超えた交流ができるのも、日米学生会議の魅力の一つ」と語る松本さん、将来は国際的なビジネスの世界で活躍したいという。
 イベントの主催は財団法人国際教育振興会だが、実行委員は前年度の会議に参加した学生の中から選出される。企画、運営に日米の学生がスタッフとして積極的に関わるのは古くからの伝統。松本さんも、昨年の第60回会議では「現代社会と伝統」分科会の参加者だった。松本さんが日米学生会議の存在を知ったのは、大学2年の時。就職を意識してインターン活動を優先させるべきか迷ったが、先輩に「人生が変わる」と強く勧められ参加を決めた。当初、イベントに対する松本さんの期待は高いものではなかったというが、議論の方法も大きく異なる両国の学生が、刺激を与え合う姿を目の当たりにし、印象はがらりと変わった。
 「ほかの文化を持った人たちと交わる中で、互いの考えが調和し、自分自身も変わっていった」
 1カ月間近くにわたり熱い議論を交わした当時のメンバーとは、今でも頻繁に交流があるという。
 「学生では経験できないこと、また学生だからこそ出来ることの上限を、限りなく引き上げてくれるのが日米学生会議」
 今年の第61回日米学生会議は、事前勉強会や直前合宿などを経て、7月28日から8月21日にかけて東京、函館、長野、京都の各都市を訪問するかたちで開催される。各分科会の内容は年によって異なるが、今回は「国際開発と自立的発展」、「世界の食糧安全保障」、「環境と持続可能な発展」といった7つのテーマが用意されている。現在募集されている日本側参加者は28名であり、書類審査や面接、教養試験などを経て選ばれる予定。来年度、日本の大学や大学院などに在学予定であれば、現在高校に在籍している者も含めて誰にでも応募資格がある。応募は2月28日まで受付けられ、日米学生会議公式ウェブサイトより資料請求などが可能だという。
 「どうしても自分たちの国だけにおさまってしまう人が多い。まずは国を越えた交流がなければならない」と松本さんは話す。確かにグローバル化の時代と言われつつも、特にきっかけがなければ、私たちの関心は意外に内向きのままなのかもしれない。
 日米学生会議のほかにも内閣府主催の日本・中国青年交流や世界青年の船事業など、毎年様々な国際交流イベントが開催されている。存外、すぐに過ぎ去ってしまう大学生活だが、機会があれば是非こうした活動に参加されてみてはいかがだろうか。
(花田亮輔)