28年度義塾予算 国際化事業への支出が増加

平成28年度義塾収支予算が決定した。基本金組入前当年度収支差額は昨年度とほぼ変わらず57.9億円で、6年連続の収入超過となる見通しだ。経常費等補助金が減少する一方で、平成26年度に採択されたスーパーグローバル大学創成支援事業関連支出等の増加により、教育活動収支差額は昨年度に比べ16.7億円程度悪化する見通しとなっている。なお、昨年度の学校法人会計基準の改正により、今年度予算は新基準に移行したうえで計算されている。

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平成27年度決算は、基本金組入前当年度収支差額では1‌0‌9・2億円となり、昨年と同様に予算の57.9億円を大きく上回った。寄付金や付随収入の増加などがその要因として挙げられる。

慶應義塾 消費収支予算(単位:千円)
慶應義塾 消費収支予算(単位:千円)
基本金組入制度とは、義塾の三つの柱となる教育活動、研究活動、医療活動のための施設・設備の更新や新設等への投資に対し、資金を事前に積み立てる制度である。

また、その一部は基金として運用され、収益が奨学金や研究奨励費などとして塾生に還元される。「健全な財政こそが、大学の教育・研究の維持発展、質の向上に欠かせない」と経理部課長の栗林武郎氏は話す。今年度予算においても、「収入面で基本金組入合計額の50%を賄うだけの収入超過の達成」という目標を継続し、支出面でも昨年度の支出予算を上限とすることで、健全な財政の実現を目指す。




今年度予算の教育活動収支の収入の部を見ると、経常費等補助金が前年度比で6%強減額されている。これは国庫の財政難による私立大学向けの助成金削減による。減少傾向が続く補助金に対して、この穴をどう埋めるかが課題になっている。慶大では物価上昇に対応して学費のスライド制をとっているが、優秀な学生を確保し続けるためには安易な学費増額はできない。義塾としては、教育活動収支差額の支出超過を補って余りある教育活動外収支差額を目指すことになる。

また平成26年度、国の国際化事業の一環で、慶大はスーパーグローバル大学創成支援事業に採択された。これに対して、平成27~28年度の2年間を中期計画の第1期として位置付け、特に「広報」、「国際化」、「人事」を重点課題領域として取り上げることが決定されている。具体的には、ホームページの充実、大学ランキングの順位向上、留学生・外国人研究者の増加とその交流の活性化のために予算が投じられることになる。

慶大は平成29年度入試から学部一般入学試験でインターネット出願を開始する。これにより、いままで紙媒体で販売していた募集要項や願書が不要になるため収入は減少するが作業が大幅に効率化される。そのため支出が抑えられることを見込んでおり、義塾の財政にはあまり影響を与えないと予想される。


【用語解説】
事業活動収入計は、学生生徒等納付金(学費)、手数料(入学検定料)、医療収入、寄付金、補助金などの収入であり、借入収入などの負債となる収入は除かれる。事業活動支出計は、人件費、教育研究経費、病院経費など、当該年度に消費する支出である。基本金組入前当年度収支差額は事業活動収入から事業活動支出を引いた額である。基本金組入前当年度収支差額のプラスは、将来的な施設投資や借入金返済による基本金組入額の財源となる。基本金組入後の収支を当年度収支差額という。学校法人会計基準では、当年度収支差が均衡することを求めている。