大麻取締法違反で塾生2人が逮捕、起訴された事件で、慶應義塾広報室は中村友志郎君(経1)を4日付で退学処分にしたことを明らかにした。内田浩太郎君(商2)は5日現在裁判中のため、大学としての処分は確定していないという。
(大木将裕・亀谷梨絵)

 現在、慶大だけでなく多くの大学に広がりを見せている大麻問題。一般に大麻は安価で手に入れ安く、覚醒剤などに比べ比較的依存性が少ないといわれている。本当に大麻の危険性は低いのか。
群馬県にあるアルコール薬物依存症の専門病院、赤城高原ホスピタルの竹村道夫院長に大麻の危険性について、医師としての臨床体験の見地から話を伺った。
 赤城高原ホスピタルに入院する薬物乱用依存症の患者の半数近く、また、覚醒剤乱用で入院した患者の大部分が大麻を使用した経験があるという。薬物乱用で入院した患者の中には「最初に大麻に手を出さなければこんなにひどい事態にはならなかった」と嘆く人も少なくない。「大麻は覚醒剤をはじめとする他の薬物に手を染めるきっかけとなり得る」と竹村院長は話す。
 大麻に依存性がないというのも誤解だ。最近では大麻乱用が主たる問題で病院に訪れる患者も少数ながら現れてきているという。そういった患者の一部は明らかに大麻依存症である。赤城高原ホスピタルの患者の中には大麻使用をきっかけに自殺を図った女性もいる。「大麻使用者が必ず深刻な依存症となるとはいえないが、大麻は決して無害なものではない」と竹村院長は強調する。
 大麻所持は法律で厳しく罰せられる。大麻使用は社会的制裁を受けるだけでなく深刻な薬物依存への入り口になりうることを忘れてはいけない。 学生の大半が成人している大学では、薬物使用は自己責任によるところが大きい。安易な気持ちで大麻に手を出すのがいかに危険で、自分自身を傷つけることになるのか再認識する必要があるだろう。