明大に敗れ5季ぶり優勝ならず

5季ぶりの優勝を目指した慶大野球部。東大戦に連勝するも、明大戦では接戦をものにできず連敗し自力優勝消滅。明大の優勝が決まり上位を目指し臨んだ早慶戦でも連敗を喫した。慶大は勝ち点3を得るも勝率の差で4位に沈み、今季で退団する江藤監督の花道を優勝で飾ることはできなかった。
(坪﨑駿吾・上井颯斗・武智絢子・森下怜一郎)

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東大第1戦 ○1-0 残塁数14 得点力に課題

法大から貴重な勝ち点をあげた慶大は東大と対戦。1―0と辛勝し慶大は明大を抜きリーグ首位に浮上した。

慶大は初回から先制の好機が到来。山本泰(環2)が四球で出塁すると、続く松本大(環4)がエンドランを決め1死一、三塁とする。しかし後続が倒れ無得点に終わる。

先発を託されたのは加藤(政1)。初回からピンチを迎えるが東大打線を抑え切り、点を与えない。

試合が動いたのは3回。2死から谷田(商2)が二塁打で出塁すると、横尾(総2)が適時打を放ち1点を先制。その後、四球などで2死満塁とするも、打線が繋がらず得点は1点に止まった。

落ち着いたピッチングを見せる加藤だったが4回、2死二塁から7番阿加多に左前安打を打たれてしまう。しかし荒川(商4)の好返球で本塁タッチアウト。好守が光り、ピンチを切り抜けた。

その後、両チーム得点できないまま1―0で試合終了。加藤―白村(商4)の継投が噛み合った一方、得点はわずか1点、残塁数14と、課題が残る結果となった。

無安打無得点を達成した加嶋
東大第2戦 ○5-0 加嶋ノーノー 史上23人目

第1戦を1―0で制して迎えた東大第2戦は、加嶋(商2)が六大学リーグ史上23人目、24回目となる無安打無得点試合を達成。5―0の快勝で3つ目の勝ち点を挙げた。

初回、先発の加嶋が東大打線を三者三振に取り、その裏1死一、ニ塁の場面で4番の谷田(商2)が右翼席に本塁打を放ち3点を先制。5回にも山本泰(環2)、松本大(環4)が犠飛を放ち東大を突き放した。

加嶋は東大打線を7回までパーフェクトに抑える。8回に先頭打者に四球を与え、完全試合は潰えたものの「ベストピッチだったから仕方ない」と切り替え、冷静に後続を断つ。9回も三者凡退に抑え、慶大では2010年春の竹内大助投手以来の大記録を成し遂げた。

加嶋は「法大との第4戦で先発を外された時から、完全試合を意識していた。次の東大戦ではインパクトのある活躍をしてやろうと。初回からあと26人、25人と数えていた」と試合後に記録を振り返った。

明大第1戦 ●0-5 投打振るわず 痛い1敗

勝てば優勝に大きく近づく明大第1戦。単独首位を走る勢いはどこへ、投打ともに不振で慶大は0―5で敗れた。

先発した慶大の加藤(政1)は立ち上がりに4四球を与えながらも初回は1失点で乗り切った。加藤は初回以降、5回まで無失点に抑え、復調したようにも見えた。しかし6回、先頭打者に安打を許すと、菅野の適時三塁打と川合の2点本塁打の2本の長打を浴び、この回3失点。6回4失点と試合を作れなかった。

一方、慶大打線は明大・山崎を前に6回まで二塁を踏めず。7回にようやく1死満塁のチャンスを迎え、山崎をマウンドから引きずり下ろす。一打同点の場面だったが、続く小笠原(環2)、代打藤本知(環3)が明大2番手上原を前に連続三振に終わり、1点も奪えずに攻撃を終えた。試合の流れを変えるべく8回から明(政3)が登板。しかし、2死三塁から再び菅野に適時打を許し、点差を拡げられてしまう。

8回、9回ともに上原相手に4三振を含む三者凡退に終わり点差は埋まらず、呆気ない試合運びで完封負けを喫した。

明大第2戦 ●2-4 逃げ切れず 優勝が消滅

負ければ自力優勝が消滅する明大第2戦。慶大は中盤に逆転に成功するも、終盤に再度逆転を許し、2―4で敗戦した。

慶大の先発は前回登板でノーヒットノーランを達成した加嶋(商2)。初回に打球が左手に直撃するアクシデントに見舞われるも4回を1失点に抑える。
一方明大の先発は第1戦で慶大に走者を出させなかった上原。この日も中盤まで上原を打ち崩せずにいたが6回、スタメンに復帰した佐藤旭(商3)が安打で出塁、続く山本泰(環2)がレフトスタンドへ2点本塁打を放ち慶大が逆転。

このまま逃げ切りたい慶大は6回途中から白村(商4)を投入。再三ピンチを招きつつも6回、7回を無失点に抑える。しかし8回に3連続四死球で無死満塁、絶体絶命の局面を迎える。8番坂本に、センターの頭上を越える走者一掃の適時二塁打を放たれ万事休す。最終回は三者凡退に終わり、試合終了。あまりに痛い逆転負けで今季初めて勝ち点を落とし、同時に自力優勝も消滅した。

早大第1戦 ●0-2 手も足も出ず 1安打敗戦

優勝を逃し2位をかけて早大と対戦した慶大は、早大のピッチャー有原に手も足も出ず0―2で初戦を落とした。

先発は先日ドラフト指名された白村(商4)。初回を三者凡退で抑え、上々の立ち上がりを見せる。2回に1死二、三塁とピンチを迎えるが、後続を断ち無失点で切り抜けた。

3回、手錢(環4)のバントヒットと二盗で1死二塁と先制のチャンスを作るも、有原の前に得点を挙げることができない。その裏、早大の中澤彰、重信に連打を許し先制されてしまう。

慶大は有原をとらえられず毎回三者で抑えられる状態。一方白村は3回以降ボール先行気味のピッチングで、5回にはまたも重信に右中間を破る二塁打を打たれ追加点を与えた。

一打が出ず、結局0―2で試合終了。慶大は白村から小原(環1)、山田(環4)、加藤(政1)と継投するも四球などで早大に再三チャンスを与える展開。打線はわずか1安打と有原の前に沈黙し、完敗した。

早大第2戦 ●2-9 敢え無く敗戦 秋季終える

一敗し後がない慶大は、初回から早大打線に捕まり2―9で敗北を喫した。

先発の加嶋(商2)は初回から四球を与え犠打で進塁されると、続く中村に中前適時打を放たれ先制を許し、続く4番小野田には左翼席に飛び込む本塁打を放たれ追加点。さらに1点を加えられ序盤からペースを握られる。

その裏、慶大も反撃に出る。二死二塁から4番谷田(商2)、5番横尾(総2)の連打で2点を加え、差を詰める。

しかし3回、中村に左翼席へ本塁打を放たれ加嶋が降板。代わった加藤(政1)も1点を失い、差を広げられる。打線は初回以降走者を出すものの後続が打ち取られ追加点を奪えない。

4回以降、継投で踏ん張るも7、8回に続けて失点し大量9失点。早大打線を抑えることができず連敗を喫し、勝ち点を落とした。

秋季日程を終え堀野主将(理4)は「早慶戦にも勝ちたかったし、優勝したかった。思い通りにいかないのが野球だから仕方ない」とシーズンを振り返った。