既習者の合格に1割増
法務省は10日、今年度の司法試験の最終合格者数を発表した。全体の合格者数は2049名で、昨年度より53名の減少。合格率は26・8%で、昨年度よりわずかに上昇が見られた。全体として合格者・率ともに大きな増減は見られず、難易度・傾向などもほぼ変化はなかった。

慶大法科大学院からの合格者は201名、合格率は56・8%で、大学院別に見ると、最も高い数字を出した。昨年度の合格者186名、合格率53・6%に対して大きな伸びが見られた。

また、未修者コース・既修者コース別に見ると、既修者コースの合格者は159名で未修者コースでは42名だった。昨年度と比べて、未修者の合格率は微減したが、既修者コースに約1割の大幅な増加があった。

新司法試験の導入が決定し、法科大学院が開校されてから今年度で10年が経つ。慶大法科大学院では新制度に対応した教育を行い、合格者数を増やしてきた。その教育方針が一定の成果を上げた形だ。

しかし司法試験全体の志願者は年々減少し、法科大学院間の合格者数の格差が深刻化している。さらに、政府が2003年に閣議決定した「司法制度改革推進計画」に盛り込まれていた「司法試験合格者数を年間3000人程度とする」政府目標の白紙化が決定した。

慶大大学院法務研究会院長の片山教授は、来年度の急激な試験制度の変更は考えにくいと話す。しかし、新制度の問題点の改善を図るため、再来年度以降に司法試験制度の大幅な見直しを図る可能性があるともいう。国内の司法制度については、改革案も含めて慎重な議論が続けられる。今後は議論の動向を見ながら慶大法科大学院も対応していくという。