日吉のラーメンはもう飽きた。日吉5年目の筆者は、変わったラーメンを求めていたところ、本郷にある「山手ラーメン本郷安庵」にたどり着いた。

早速看板メニューの「みどりラーメン」を注文。名のごとく緑色のスープが特徴のこのラーメン。実は一杯に数億匹のミドリムシが入っているのだという。

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みどりラーメンを食べ、ミドリムシに興味が湧いた筆者。ミドリムシを研究しているユーグレナという会社で現在取締役経営戦略部長をされている永田暁彦氏(2007年商学部卒業)にミドリムシの魅力や会社の事業についてお話を伺った。

代表取締役社長の出雲充氏が大学時代にバングラデシュを訪れ食料問題に直面し、その解決を目指して、微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)を研究していた仲間と共に設立したのが㈱ユーグレナだ。会社名のユーグレナとはミドリムシの学名である。

まず、ミドリムシの魅力は59種類もの豊富な栄養素を持ち、地球上に光、水、土地がある限りは生産可能な点だ。その特徴を生かしたミドリムシの大量培養で、機能性食品として生産、販売や、バイオ燃料への応用を研究している。現在塩や米、緑汁などが商品化されている。

ユーグレナがミドリムシを培養する上で注力しているのは「コストを下げること」だと永田氏は語る。単位面積あたりで取れるミドリムシの量を増やせるようになり、コストが下がれば、代替燃料となる可能性は十分にある。

ミドリムシを用いると環境面やエネルギー面でのメリットもある。現在は地中にある石油などの燃料を用いるため、大気中のCO2が増加してしまい地球温暖化の原因になっている。しかしミドリムシからとれる油を用いたバイオ燃料を使えば、CO2を排出せずに済む上、既存の燃料に頼る必要がなくなる。このようなCO2の相対的な削減をして炭素循環社会を創造することが「バイオテクノロジーで昨日の不可能を今日可能にする」というユーグレナの目指す世界である。結果、エネルギー問題や環境問題の解決にもつながっている。

また前述の食料問題解決への一歩として、バングラデシュにユーグレナ社初のオフィスを構え、ユーグレナ入り食品の普及を行う予定である。

ユーグレナの事業について永田氏は「世界で唯一の技術で未来を変えることができるのは面白い」と話す。社員の若さにも触れ、「普通の会社では5年目にする経験が2~3年目に体験できる」ことや「社員が少ないのでお互いの距離が近い」ことも会社の良い点だという。

ミドリムシという約0・05㍉㍍の小さな藻の一種に秘められた無限の可能性。私たちがその恩恵にあずかる日はそう遠くはないだろう。(矢野将行)