《大人になる、ということ》人生の転機に、自分と向き合う 映画『何者』を考える

大人になる、ということ

多くの大学生が経験する就活。まだ自分自身が「何者」であるかもわからない状況の中で、自分自身を限られた時間で上手くアピールすることが求められる。

2‌0‌1‌6年に公開された映画『何者』では就活と向き合う現代的な大学生の姿が描かれており、公開当時は物語の中でのSNSの使われ方や主人公の心情がリアルすぎると話題になっていた。私たち学生にとって就活とは恐ろしいものである。今まで「将来の夢」として漠然と思い描いていたことが突然、現実的な問題へと姿を変えるのである。

「あなた自身を1分間で表現してください」このセリフは劇中の面接シーンで登場する。Twitterの1‌4‌0字の字数制限のように、1分間という時間は自分自身を一度で表現するにはあまりにも短すぎる。それでも私たちはその限られた時間に何をどう詰め込むか、自分自身を必死に見つめ返し考える。まるで「自分は何者なのか」と問いかけるように。

そしてこの問いに答えを与えることこそが「大人になる」ということなのである。就活はその大人になる過程の大切な第一歩。その大きすぎる一歩に私たちは大いに悩まされ、苦しめられることもまれではない。自分が何者であるのか知るために、他者から認められたいという承認欲求が次第に私たちの中に強く芽生えるようになる。そのため他人の目を必要以上に意識せざるを得なくなり、本音はスマートフォン越しのSNS上の世界にしまい込む形でしか表現できなくなる傾向がより強くなった。

だがしかし「自分は何者なのか」に対する答えは他者から与えられるものではなく、自分の中にのみ存在するのである。自分自身を確立させ、他者に依存しない生き方を模索することこそ、私たちが大人になる上で最も必要とされているのではないだろうか。

映画『何者』は大学生のリアルを繊細かつ大胆に描き、私たちが「大人になる」ということを意識するきっかけとなる作品である。

(髙根奈々、大津こころ)


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