慶應塾生新聞会 三田オフィス
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最”深”研究で迫る 特別展『深海2017』

深海――それは宇宙と並び、人類に残された最後のフロンティアだ。その未知なる世界へと誘う特別展「深海2017~最深研究でせまる“生命”と“地球”~」が10月1日(日)まで、国立科学博物館にて開催中である。
 
同館では2013年夏、特別展「深海」が開催され、ダイオウイカの映像と標本展示が話題となった。しかし本展は、その第2弾ではなく全くの別物だということを総合監修者の一人、倉持利明氏は強調する。今回の展示は、最新の深海研究について取り上げ、その幅広さや奥深さを知ってもらうことがねらいだ。以下、主な展示内容について取り上げる。
 
本展では、深海に生息する生物の変わった特徴について紹介している。およそ9割の深海生物が発光するといわれているが、その理由は未だほとんど解明されていない。「生物発光シアター」では、その発光の謎に迫っている。
 
発光生物のほか、深海にはダイオウイカのような巨大生物が生息している。なぜ巨大化するのか。明確な理由は解明されていないが、捕食者に襲われにくくなるといった利点があることや、浅瀬と違って天敵が少ないためだと担当者は語る。
 
このように、本展では独特な特徴を持つ深海生物の貴重な標本や最新映像を数多く展示している。また、4Kスーパーハイビジョンで撮影された深海の映像を大スクリーンで映し出す「深海4Kシアター」では、まるで自分が深海にいるかのような感覚を味わえる。
 
このような深海生物の神秘についての展示だけでなく、深海研究が一体どのようなことに活用されているかを知ることができるのも本展の魅力だ。

「母なる海」という言葉があるように、始原生物から進化してきた真核生物は、深海にある熱水噴出口で誕生したと考えられている。そのため熱水噴出口を調査することで、我々人間を含む生命の起源が解明できるかもしれないと担当者は語る。
 
さらに、深海の研究によって、巨大地震の原因を解明することができるかもしれない。本展では、東日本大震災の際にずれた断層を初公開している。これは、地球深部探査船「ちきゅう」を用いて海底を掘削することで採取したものだ。こうした研究が地震発生のメカニズム解明に大きく貢献している。本展では、有人潜水調査船「しんかい6500」や「ちきゅう」の模型、掘削に用いるドリルパイプの実物なども展示している。
 
そして、日本の排他的経済水域と領海は併せると世界で6番目に広く、深海にはレアアースやメタンハイドレートなど、天然資源が数多く眠っている。従来は資源に乏しかった日本にとって、こうした海底における新たなエネルギー資源の開発は大きな注目を集めている。
 
地表の70%は海で覆われているが、解明されているのはそのうち10%に過ぎないという。これまで深海といえば、巨大生物ばかりにスポットライトが当てられてきた。しかし、この特別展「深海2017」を通じて感じられることは、深海研究の多様性と、その奥深さであるだろう。ぜひこの夏、深海の「深さ」を体感してみてほしい。
(山本啓太・花村諭志)