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身近なワンダーランド 日吉の森へ

福山教授の後ろに広大な森がひろがる
福山教授の後ろに広大な森がひろがる

日吉キャンパスには広大な森が広がっている。足を運んだことのある学生は少ないのではないだろうか。日吉の森の魅力について、観察を続けている慶大経済学部の福山欣司教授に話を聞いた。

日吉の森の歴史は縄文時代に遡る。当時はほとんどが海だったが、徐々に海岸線が移動し、現在のような沖積地になった。キャンパス建設時には多くの古墳や竪穴住居跡が見つかっている。

元々この地域には日吉村があり、低地は水田、森は薪をとるための里山であった。昭和初期、駅から記念館までの台地に校舎が建てられ、蝮谷の谷底や尾根に、体育会の施設やコートができた。しかし斜面部分は開発が難しく、そのまま森として残った。

日吉の森の自然について本格的な調査がなされたのは1986年以降だ。自然科学担当教員で構成された慶應義塾大学自然調査グループが森に切り込み、91年に『慶應義塾日吉キャンパス域の自然報告書』を発表した。

報告書によれば、日吉の森には実に1276種類もの動植物が生息し、中には絶滅危惧種も存在しているという。カブトムシやクワガタ、タマムシなどおなじみの昆虫も多数生息する。これほどまでに質の高い雑木林は、都市部では珍しい。

「日本の原風景とも言える里山の自然がちゃんと残っているという意味で、大変貴重なんです」と福山教授は語った。「まず知ってほしいですね。記念館の向こうに出かけてほしい」

ほとんどの学生は森に行かずに日吉を卒業してしまう。それはもったいないことだ。色とりどりの花が咲き、生き物で溢れ、やがて紅葉を迎え、雪が積もる。四季を通じて様々な顔を見せる森は、人工物からは味わえない魅力をたたえている。

キャンパスでは『日吉学』や『日吉の森に学ぶ会』など、様々な授業やイベントを行っている。まだ認知度は低いが、学生なら誰でも参加することができる。自然や歴史を学び、それらを理解する良いチャンスになることは間違いない。

自然、地理、歴史などあらゆる要素が詰まったワンダーランドを、一度歩いてみてみるのもいいだろう。
(玉谷大知)