【教授に訊きたい】法学部 駒村圭吾教授

改憲問題、本質はどこに
平成25年7月、参議院議員の半数が任期を終える。それに伴い、この夏に参議院議員選挙が実施される予定である。その大きな焦点の一つが、昨今世間を騒がせている、「憲法改正問題」だ。
しかし、その本質はなかなか掴みづらいものである。
「そもそも憲法とは何なのか」、「改憲問題の本質とは何なのか」。こうした議論に鋭い分析と意見を語るのは、法律学科で憲法を専門とし、慶應義塾高校の校長も務める駒村圭吾教授。
まずは日本の憲法の本質について、駒村教授は「ルールの部分と理念の部分に分けて考える必要がある」と言う。ルールの部分とは、国家の基本的運用方法を定めているもので、国会の二院制や国会議員の任期など、その条文の解釈は一つに定まる。一方、理念の部分とは、「国家の理想的な在り方」を示した部分で、「平和主義」「国民主権」「基本的人権の尊重」などの基本理念を表した条文を指す。これらは、あくまで国家が向かうべき「方向性」を示したもので、そこには常に解釈の余地がつきまとう。
こう説明した上で、駒村教授は「現行憲法の特に理念の部分について、現実に合致しないから改憲するという議論はおかしい」と語る。憲法の理念を示す部分が、理想を示したものである以上、「現実と憲法の条文が合致しないのは当たり前」とのことだ。
次に、憲法改正の実現可能性について、駒村教授は「参院選の結果次第では、憲法改正が発議される可能性は十分にある」と予想する。一方で、「憲法改正はそう簡単に実現するものではないだろう」とも。国民投票というハードルはそう簡単に超えられないからだ。
だが最近、憲法96条(憲法の改正手続き要項)先行論が浮上している。「憲法制定時に、主権者はこれだけ素晴らしい憲法を作ったのだから、改正の条件もそれに応じて厳しくしようと考えたはず。ハードルを下げるということは憲法の価値を低める。約束が違うじゃないか、ということになる」と強調する。
その上で駒村教授は「現状の自民党案はそもそも何をしようしているのかわかりづらい」ので安易に賛否を表明しにくいとする。
文言の変更も重要だ。13条が「すべての国民は人として尊重される」という文言に変更されることについて、「法律用語の“人”は法人(企業や大学など)と自然人(一個人としての人)との両方を表す。改正前の表記の“個人”とは全く意味合いが異なるのではないか」と語る。法律用語は我々が一般的に使うものと意味合いが異なることも多く、憲法改正の際には細心の注意を要する。

関心持って自分の答えを
最後に、世間を騒がせている「憲法改正問題」について学生に伝えたいことを聞いた。駒村教授は「とにかく夏の参院選に何らかの形で関わるべきだ」と提言する。選挙権を持っているなら、積極的に投票所に赴くべきで、選挙権がないにしても開票速報などは見るべきとのこと。そして「憲法とは何か」について積極的に学び、自分なりの答えを持つことが、日本の将来を担う学生にとっては大切である。
憲法の改正問題は、これからの日本を左右する大きな問題で、我々の将来に大きく関係する。決して「自分には関係ない」などとは思っていられない。学生にも、日本国民としてこの問題について考えることが求められる。 (斉藤航)


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