「博物館へ行くのは、歴史の勉強をするみたいで退屈だ」。正直なところ、そう思う人は少なくないだろう。また、身近にどのような博物館があるのか知らない人も多い。そこで今回、都内にある個性的な博物館3カ所を紹介する。

 最初に紹介するのは、小金井市にある江戸東京たてもの園。敷地面積約7ヘクタールの園内に、現在、現地保存の不可能な歴史的建造物27棟が移築・復元されている。

 園内は大きく3つの区域に分かれる。東ゾーンは、居酒屋、荒物屋、銭湯など、昔懐かしい下町の風景が広がっていて、「千と千尋の神隠し」の世界を彷彿とさせる。センターゾーンには、二・二六事件の現場となった高橋是清邸や伊達家の門がある。西ゾーンには茅葺き屋根の農家、三井の邸宅、田園調布の家など多種多様な住宅が立ち並ぶ。農家ではいろりを焚いていることもあるので、中を覗いてみよう。

 園内を一周するだけで、さまざまな文化遺産を巡ることができる。江戸東京たてもの園ならではの醍醐味だ。

 次に紹介するのは目黒寄生虫館。だれでも無料で入れる、世界で唯一の寄生虫博物館だ。

 寄生虫というとダニやマラリアなどの害虫を思い浮かべがちだが、人に危害を加えるのは少数。寄生虫は宿主なしには生きられないため、普通は宿主と共生しようとする。

 中には、一般的な寄生虫のイメージと異なるものも。展示されている日本海裂頭条虫は、なんと全長8・8㍍。フタゴムシはチョウのような形で、愛らしくさえある。

 展示に加え、2階のミュージアムショップも充実。寄生虫関連の書籍のほか、サナダムシのTシャツやフタゴムシのキーホルダーなどのオリジナルグッズが手に入る。

 最後に紹介するのは、渋谷にあるたばこと塩の博物館。30年前、たばこと塩を専売品として取り扱っていた日本専売公社によって設立された。

 常設展示室のうち、中2階と2階はたばこの、3階は塩の展示室。昔のたばこ屋を再現した部屋や塩作りの様子を示したジオラマなど、ガラスケースの中に留まらない空間的な展示が特徴だ。

 また現在、「四大嗜好品にみる嗜みの文化史」と題した特別展示を開催中。4階の特別展示室では、世界の四大嗜好品である酒、茶、コーヒー、たばこがいかに愛されてきたかを見ることができる。

 さらに1階視聴覚ホールでは『ローマの休日』、『アメリ』など嗜好品とかかわりのある映画作品が先着80名に上映される。ほかにも「ワインと音楽の夕べ」などイベントが盛りだくさんだ。

 今まで博物館を敬遠してきた人も、博物館に対するイメージが変わったのではないだろうか。ぜひ、博物館へ「遊びに」行ってほしい。

(小柳響子)

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▽今回紹介した博物館
 江戸東京たてもの園
 中央線武蔵小金井駅北口2番、3番乗り場よりバス5分、「小金井公園西口」下車、徒歩5分。開園9時30分、閉園16時30分(10月から3月)または17時30分(4月から9月)。入園料大学生320円、一般400円。

 目黒寄生虫館
 目黒駅西口より徒歩15分、目黒通り右手。開館10時、閉館17時。入館料無料(募金箱あり)。

 たばこと塩の博物館
渋谷駅より徒歩10分、東武ホテル向かい。開館10時、閉館18時。入館料大人100円。もちろん喫煙コーナーもあります。

※3カ所ともに、月曜日(祝日または振替休日の場合、その翌日)、年末年始は休園、休館。