提供・国立天文台

今月21日、全国の広い範囲で金環日食が観測できる。国内では1987年に沖縄で観測されて以来25年ぶり。また、本州では実に129年ぶりとなる。この貴重な機会に、ぜひ金環日食を観測したい。
日食とは、太陽の前を月が通り太陽・月・地球が一直線に並ぶことで太陽が月に隠れる現象。太陽は月の約400倍の大きさだが、太陽と地球との距離も地球と月との距離の約400倍。そのため、一直線に並んだ状態で、地球から見たとき太陽と月の大きさはほぼ同じに見える。このとき太陽が月で完全に隠され、夜のように暗くなるのが皆既日食だ。夜のように暗くなり、乳白色のコロナがぼーっと浮かび上がる。気温も急に下がり、実に幻想的な体験だ。
一方、今回の金環日食(以下、金環食)では太陽の中央部分のみが月で隠れ、太陽が月の周りからリング状にはみ出して見える。これは、月の軌道が楕円を描いているため月と地球との距離が遠くなり、太陽よりも小さく見えることで起こる現象だ。周囲が完全に暗くなることはない。残念ながら金環食の場合、リング状にはみ出した太陽が明るいので、コロナは見られない。
今回の金環食は、関東から九州地方にかけて、日本の人口の多い地域で観測できる。関東地方・中部地方南部・近畿地方南部・四国地方南部・九州南部などで観測可能で、これ以外の地域でも太陽が大きく欠けた部分日食が期待できる。東京・神奈川では6時19分頃から日食が始まり、7時34分頃に最大日食を迎える予定だ。
このように貴重な現象を観測できる機会であるが、失明の危険が伴うので、注意が必要だ。太陽が大きく欠けている状態や金環食の際でも、太陽からの光線は非常に強く、全体の1%も見えていれば眩しく感じる。また、太陽光には可視光線以外にも多くの紫外線や赤外線(不可視光線)が含まれているため、肉眼で直視するのは危険。サングラスや光を遮る下敷きで眩しくない状態であっても、減光が不十分であったり、不可視光線が目に入ったりするおそれがある。専用の日食観測グラスで短時間だけ観察するのがよい。日食観測グラスは値段や形状もさまざまで、選ぶのも楽しい。学内でも、日吉生協2階などで買うことができる。
日食眼鏡を用いる以外にも、楽しみ方はある。画用紙などに小さな穴(ピンホール)を空け、その穴を通る光の影を投影すると、欠けた太陽の形が観測できる。手鏡で太陽光を壁などに反射しても、同様に三日月型の太陽が楽しめる。また、木漏れ日も三日月型になるので、何も用意することなく金環食を楽しむことも可能だ。たとえ寝坊した場合でも、太陽は午前9時まで欠けているので、木漏れ日を見てみよう。
次回、日本国内で金環食が見られるのは、18年後2030年の北海道。全国広範囲で見られる貴重な現象を、楽しんでみてはいかがだろうか。     (小原鈴夏)

麦わら帽子で三日月型の影を観測できる(提供・国立天文台)
月の軌道は楕円を描いている(提供・早稲田大学宇宙航空研究会)