司令塔としてチームをけん引する伊藤

慶大バスケットボール部は京王電鉄杯(先月28―30日、トヨタ府中体育館)で参加10大学中9位に終わった。Aグループ予選において、慶大は0勝4敗で最下位の5位に終わった。最終日に行われたA・B両グループの5位同士が戦う9位決定戦では東大に勝利を収めた。    (鈴木優人・小林知弘)

青学大戦 ●62-86
故障者が続出し、危機的状況で迎えた初戦。対するは王者青学大。慶大は中盤で粘りを見せるも62―86で敗れた。

序盤、慶大は速攻主体の青学大のオフェンスに対応できず、大きくリードを許す。これに対し、慶大は伝統の堅守速攻のスタイルで徐々に点差を縮め、35―43で前半を折り返す。

後半、エース矢嶋(総3)の得点で4点差に迫る。流れに乗りたい慶大だったが、ゴール下に攻め込む青学大のオフェンスを抑えきれずリードを広げられる。さらには、矢嶋の負傷退場で主導権は完全に青学大へ。その流れをはね返せなかった慶大は、62―86で王者に屈した。

法大戦 ●48-77第2戦の相手は、2部に降格した慶大が、秋のリーグ戦で争うことになる法大。勝っていい印象を残しておきたい相手であったが、48―77で敗れた。序盤、慶大は大黒柱・本橋(環3)を中心に得点を重ねる。しかし、外角からのシュートと展開の速い攻撃を武器にする法大の勢いを止めることができず、23―42で前半を終える。

後半、慶大は十八番である足を使った攻めで反撃を試みる。伊藤(環2)がバスケットカウントでチームに勢いをもたらすと、ルーキー大元(環1)がスティールでこれに応える。しかし反撃もそこまで。法大の勢いのあるオフェンスに慶大は終始圧倒され、48―77で敗れた。

専大戦 ●62-77前日の悪い流れを拭いたい大会二日目。しかし、第3戦の専大戦も62―77で勝ち星を得ることができなかった。 前日のエース矢嶋の負傷により攻め手を欠く慶大であったが、「1対1を意識してやっていた」と、ガードの伊藤が個人技で得点を重ねていく。

しかし終始にわたってゴール下での競り合いに勝てない慶大は、専大の攻撃を抑えることができない。その後慶大は勢いを取り戻し、試合終盤は専大と互角の戦いを見せるも、62―77で敗北を喫した。

日大戦 ●56-75予選リーグの最終戦。何としても一勝はしたい慶大であったが、56―75と日大に大敗した。専大戦に続き、高さで劣る慶大はリバウンドが取れず攻守両面においていい流れを作れない。第2Qでは日大の攻撃陣を抑え込んだものの、前半を26―33とリードを許して終える。

後半は日大の攻撃の勢いがさらに増し、大きく点差を離される。終盤控え選手主体となった相手に慶大も流れを取り戻すが、一度大きく開いた点差は詰まらない。結局56―75と大差をつけられ敗北した。

二日間を振り返って佐々木ヘッドコーチは「リバウンドの差が結局得点差につながった。どの試合も後手後手にまわってしまった感じですね」と話した。

東大戦 ○88-56

京王電鉄杯最終日。両グループの5位同士がぶつかる9位決定戦で東大と対戦した。慶大は力の差を見せつけ、88―56で東大を下した。

試合開始直後、先取点を取ったのは東大。一方慶大は思うように得点を重ねることができず、波に乗ることができない。ここでチームを救ったのが「1年生らしくチームを盛り上げていきたい」というルーキー大元(環1)。前半だけで3ポイントシュート3本を含む17点を挙げ、故障者続出でスコアラー不在の慶大をけん引した。大元の得点で慶大は勢いづき、43―27で前半を折り返した。

後半に入っても、大元は止まらない。得意のジャンプシュートだけでなく、アシスト、スティールと幅広いプレイでチームに貢献。慶大に勢いをもたらした。第4Qに入り慶大は控え選手中心となったが、勢いは衰えず。持ち前のプレッシャーの強いディフェンスで東大を圧倒。9位決定戦は88―56と慶大の圧勝で幕を閉じた。

試合終了後、佐々木ヘッドコーチは大元を含む新戦力の1年生にかんして「1年生らしく元気にやってほしい。新しい力が吹き込む風というのは、この時期のチームにとって非常に大切なことだと思います」と語った。