日吉でAPECフェスタ 著名人が経済協力を議論

連続講演会に招かれた藪中氏(左)と一色氏(右)

    

 

APECフェスタin慶應が日吉キャンパスで先月14日から23日まで開催された。このイベントは学生を中心に構成される「慶應APECイベント実行委員会」が今月7日から始まる横浜でのAPEC開催に合わせて企画・運営したもの。期間中は有識者を招いた講演会や展示会、APEC参加国の学生による会議が催された。                                (荒川桃子)

「日本経済の展望~アジア・太平洋地域における日本の役割~」と題した計6回の講演会では政治・経済界の著名人6人が講師として招かれた。一連の講演会の来場者数は約910人に上った。

藪中氏「日米で確かな協力関係を」

先月14日には前外務事務次官の薮中三十二氏が講演。「外交とは何か?~外交が貿易・経済へ与える影響~」と題し、日本外交の今までの成果、尖閣諸島の問題や貿易自由化について解説した。
 薮中氏は講演の中で「ありがたみが薄れてきた日米同盟の重要さを考えるきっかけとなったのが今回の尖閣諸島の事件ではないか」と語った。
 「中国は日本の最も大切な貿易相手。だから、尖閣諸島のように横暴な態度をとられると日本は大変に困る」という。
 「そこで重要になるのが日米同盟」だと薮中氏は強調。「日米同盟は日本の後ろ盾になる。今後中国と向き合うためには、日米協力関係を確固たるものにすることが必要」だと主張した。

一色氏「農業の成長カギは輸出」

先月22日には朝日新聞社編集委員の一色清氏の講演会が開催された。テーマは「APECの存在意義~貿易自由化のカギは強い農業~」。自由貿易の現状や日本農業の歴史、日本農業の産業化について解説した。
 世界中で貿易自由化が進む中、日本は農業が足かせとなって自由化に立ち遅れている。強い農業を作るためにはどうしたらいいのか。一色氏は日本農業の問題点と展望を語った。
 「今まで国の保護下にあった農業を変えることには痛みが伴う。しかし、それをある程度受け入れていかない限り、日本は国として成り立たない。国は農業に対して社会政策だけをとっていてはだめ。農業を産業に転換する必要がある」と主張。農業が成長産業になりうる可能性は十分にあるという。
 「しかし、国内需要には限界がある。輸出こそが成長のカギ」と強調。「農業の企業経営に道を開き、中国などに輸出を増やすことが絶対に必要である」と主張した。

学生会議も実施 提言は国に提出

期間中は日吉キャンパス独立館内にあるコミュニケーションラウンジでAPECに関する展示会が開催された。展示の主題は「APECとは何か?~知識の枠を超えてAPECを身近に感じる~」。APECや参加国・地域の紹介、クイズラリーなどが実施された。最終日には外務省のAPEC事務局員と、アメリカ大使館の外交官による講演会も行われた。
 先月23日には日吉キャンパスで学生会議が行われた。公募で集まった留学生と日本学生がグループに分かれて女性の社会進出、災害から人を守ることやAPEC内の学生交流の円滑化について議論を交わした。
 「不平等な固定観念を改めるための教育の推進、災害情報プラットホームの設立、災害研究の交換、留学総合促進委員会の設立が必要だ」といった結論は提言としてまとめられ、日本政府に届けられる。