東大、京大など旧帝大系の7国立大学と、早大、慶大の学長は先月18日、「国家の成長戦略として大学の研究・人材育成基盤の抜本的強化を」と題した緊急政策提言を政府に提出した。
 この提言は日本における科学技術・学術の重要性、そのための基礎研究・人材育成の場としての大学の必要性を主張。諸先進国が関係予算を増やして積極的な政府投資を行っている中、日本の関係予算や投資は経済協力開発機構(OECD)中最低水準にあることを指摘し、「このままでは、我が国の生命線である知的基盤は崩壊し、国際競争力を完全に失いかねません」と危機感を露わにした。
 提言は早急に取り組むべき政策課題として、「若手研究者の育成・支援」「研究者の自由な発想に基づく基礎研究等の推進」「大学の国際競争力の強化」「体系的な大学予算システムの確立」「明確な投資目標を設けての公的投資の大幅拡充」の5つを挙げた。
 具体的な内容としては、若手研究者を育成するため、博士課程の学生向けの奨学金など経済的支援の充実や、博士人材の雇用促進をはじめ、研究施設等の老朽化対策、国際留学生の受け入れ増加などを要求した。
 また、国の研究開発投資の拡充、高等教育への公財政支出をOECDの平均水準まで引き上げることなど、国による「未来への先行投資」を強く求めた。
 提言は最後に、科学技術・学術、高等教育政策が日本の成長に不可欠であることを訴え、大学側も今回の政策のさらなる具体化に向けて行動していく考えを表明した。