LGBTQをめぐって~慶大生に今、できること~  YouTuber 奏太さんインタビュー

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「LGBTQ」という言葉を耳にする機会が増えた昨今。変わり始めた社会を当事者はどう見ているのだろうか。トランスジェンダー(FTM)であり、YouTuberとしても活動している、奏太さんに話を聞いた。

 

性別を変更するまでの葛藤と変化

――いつ心と身体の性別の不一致に気づきましたか

中学生のときだと思います。周りの女性の友達が「○○君かっこいいよね」という話で盛り上がる中、そういう感情がわかなくて。むしろかわいい女の子にときめいていてました。その時、女性が恋愛対象なのだと気づきましたね。

また、自分の身体が女性として成長するのにも嫌悪感が強くて、「何だろうこの違和感は」と思っていました。

 

――トランスジェンダーという言葉や知識はどこから得ましたか

その違和感を抱えた日々を送る中で、高校生のときにあるドラマに出会いました。『3年B組金八先生』の上戸彩さんと『ラスト・フレンズ』の上野樹里さんの役(いずれもトランスジェンダー)です。「自分の違和感の正体はこれだ!」となりましたね。高校2年生のときでした。

ですが、どちらも苦しい役だったので、高校生の自分は「トランスジェンダーの人生はこれがデフォルトなのか」と絶望したのも覚えています。

また、当時はガラケー時代で(笑)。ネットも遅くて全然調べられなかったので、学校のパソコンの授業中に性同一性障害をこっそり調べたりしていたなと思い出します。

 

――学生時代、トランスジェンダーであることで苦しかった経験はありますか

高校までは体育の授業や部活など特に性別によって分けられる経験が多いので、きつかったですね。慣れちゃっていた部分もあったのですが、特に制服のスカートや水着はつらかったです。

あとは、恋愛面でいうと、カミングアウトをしていなかったので、自分の好きな女の子に恋愛相談をされたこともあって。怪しまれないために仲のいい男の子とその女の子の仲を取り持ったりして、苦しかったなと思い出します。

奏太さん(写真=提供)

――現在は性別適合手術をされて、戸籍も変わった後だと思うのですが、その過程に迷いはありませんでしたか

手術をしたのは25歳のときでした。手術の金額が安くないことや身体にメスを入れることに少し不安はありましたね。でも、僕の場合は女性として生きる選択肢はなく、手術しなければ生きていけなかったので、とりあえず手術をしたいという思いでした。

 

――手術やホルモン治療などを始める前と後では、ご自身への考え方は変わりましたか

治療をする前は、「どうしたら男に見えるのか」ということしか考えていなくて。服装・仕草・話し方などすべて周りからどう見られているのか気にしていました。

手術をした今、初対面の人には「元女子だ」と言わなければわからない状態なので、一つ一つの仕草に他人の目をそこまで気にしなくなったことは大きな変化だと思います。

特に今ではよく、柔らかい話し方だねと言われるのですが、治療前は声によって女性だとばれやすいので、極力しゃべらないようにしたり、語調を強めていたこともありました。

 

――カミングアウトした際の周囲の反応はいかがでしたか

友達や先輩には誰も否定的な人がいなくて、それはとても有難かったです。ですが、両親とは気まずい時期もありました。母にカミングアウトしたのは22歳のときです。というのも、性別を変更してから働きたかったので、大学卒業後、就職をしない理由を説明するためだったんです。ですが、拒否はされなかったもののなかなか理解してもらえず、半年間くらいは特に気まずかったです。母のSNSを見たときに「娘が」と書かれていると複雑でした。そこからいろいろと話し合って、1年ぐらいかけて理解してもらえました。その時期にYouTubeの活動をはじめたのですが、プラスな反応が多かったので、目に見えて「トランスジェンダーは変なことではない」と母に分かりやすかったのかなと思います。今では、動画にも協力してくれるくらい、母とはとても仲良しです。

 

LGBTQをめぐってまだある課題とは

――LGBTQに関して未だある課題としてどのようなことがあげられるでしょうか

「LGBTQ」という言葉が広まってきているのは感じていますし、とても良いことですよね。その一方で、どういう人たちを指すのか詳しく知らない人も多い段階だと思います。

その中で一番大きな課題は国の制度が追いついていないことでしょう。僕は同性婚の問題を早く解決してほしいなと思っています。日本で産まれた私たちはみな平等に結婚の権利を持っているのに、パートナーが同性だったら、結婚できないというのは違うんじゃないかと。相続や病院での問題など結婚で得られる権利は多いので、そこを変えてほしいという思いはあります。

 

――学生が今ある課題に対してできることはなんでしょうか

今の学生は「LGBTQ」に関して興味を持っている人が多いなという印象を受けます。周りで当事者がいるという人も多いんじゃないでしょうか。そこで大事なのは、自分たちの考えを発信していくことだと思います。国の制度を変えるというのはなかなか難しいですが、大事な友達の将来のために選挙で投票に行くことが大事ですね。若い世代の投票率によって、LGBTQ問題を取り上げてもらえるかが変わると思うので。

 

――自らのジェンダーに疑問や不安を抱えている方へメッセージをお願いします

人に見られたい自分を想像し、なりたい自分をぜひ言葉にしてほしいです。SNSでも誰かひとりに言うのでも構いません。言葉にすることで自分自身が望む方向に向かっていくと思います。

これはジェンダーのことだけではなく、夢もしかりですが。




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