2020年9月、日本でApple Watchの「家庭用心電図計プログラム」と「家庭用心拍数モニタプログラム」が医療機器として承認されたが、Apple Watch自体は医療機器ではない。医療機器ではないヘルスケアデバイスで医療情報が収集できるようになったことはデジタルヘルスケアにおける大革命だと木村先生は話す。

「ヘルスケアのデータには、そのデータの医学的意義や解釈が確立されていないものも多い。しかし、心電図として医師が見れば、アプリケーションが判断できる分類以上の情報を得られる可能性がある」

さらに病院の医療データと個人のヘルスケアデータを融合し、どこからでもそれらを閲覧できる仕組みが整えば、デジタルヘルスケアによる自己健康管理は今後ますます普及していくだろうと木村先生は述べる。

 

Apple Watchを用いた健康管理で注意しなければならないのは、Apple Watchの医療機器として承認された家庭用プログラムはあくまで医師が適切な検査に導くための補助的なツールであり、医師の診断の代わりにはならないということだ。Apple Watchのようなヘルスケアデバイスは、病院で臨床検査技師が決められた手法で行う検査とは異なる。今後さまざまなヘルスケアデバイスやパラメータが台頭すれば、その都度、その解釈や医療への活用法を検討する必要がある。

だが1人の人間が同じ端末でデータを計測し続けることで、手軽にそのトレンドを見ることができるのがApple Watchをはじめとするヘルスケアデバイスの大きな強みだ。ヘルスケアデバイスでユーザーに気づきを与え、早期発見、早期受診を促すことが今回の研究の最終的な目標だ。病院への受診控えが問題となっているコロナ禍の今であるからこそ、家庭でできる健康管理を拡充させるべきと木村先生は考えている。

「健康管理以外の目的で毎日利用するヘルスケアデバイスを通じて、『自分の身体の変化に気づき、病院を受診し、専門的な検査や治療の後もまた、ヘルスケアデバイスで見守られる』という流れができていけば良いと思います」

 

本研究はApple Watchを所持しており20歳以上であれば誰でも参加が可能である。「今後、さまざまな業種と連携し、ヘルスケアデバイスを活用した医療DXと、そこから創出される知財を慶應発信で広めていきたい」と木村先生は語る。

 

本研究に関する詳細は下記リンクよりご覧いただけます↓

http://awhs.cpnet.med.keio.ac.jp/

Apple Watch Heart Studyアプリのリンクはこちらになります。iPhoneとApple Watchを持っている20歳以上の方なら、アプリをインストールすれば誰でも研究に参加が可能です↓

https://apps.apple.com/jp/app/heart-study-aw/id1545085347