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バレンタインの裏側に迫る−森永製菓の経営戦略

2月の一大イベント、バレンタインデー。店頭に並んだチョコレートやテレビCMを見ると心躍るのは、私だけではないはずだ。2月14日を特別な日にするため、お菓子メーカーではどのような取り組みが行われているのだろうか。株式会社森永製菓に取材し、真相を探った。

 

バレンタインと広報戦略

森永製菓では、チョコレートだけでも、38種類もの商品が展開されている(2021年1月24日現在)。幼児から小学生を客層とした、箱タイプの「チョコボール」や、10代・20代を中心とした幅広い世代向けの「ダース」、40代以上の大人向けの「カレ・ド・ショコラ」などがその一例だ。

 

DARS

さまざまな客層を想定した商品を多くの人に届けるためには、平時から広告戦略が欠かせない。バレンタイン期ではなくとも、さまざまな工夫がなされている。

例えばテレビCMについて、菓子マーケティング部の野条さんは、「商品の訴求したい内容だけを表現すると、印象の残らないものになってしまう」とした上で、森永製品のCMでは「いいクセのあるクリエイティブ」を目指していると話す。皆さんも「ココアはやっぱり森永」など、キャッチーなフレーズとともに、森永製品のCMを容易に思い出すことができるだろう。

平時からの工夫もさることながら、バレンタイン期にはさらなる広告戦略がとられるという。手作り需要・自分向けご褒美需要の増大が見込まれるからだ。

手作り需要に関して、特に板チョコは2月単月で年間の20%の売り上げを占めるほか、「ホットケーキ」「純ココア」も売り上げを大きく伸ばす。

自分向けご褒美需要に関しては、1月・2月限定で、ルビーカカオを使用したものやピスタチオのフレーバーなどの特別商品が発売され、多くの人に楽しまれる。

これらの需要に合わせ、バレンタイン期には「ホームページで毎年テーマを設け、趣向を凝らしたレシピを公開する」、「ビジュアルでご褒美感・贅沢感・特別感を意識したSNS広告を多めに出稿する」といった工夫をするという野条さん。

実際に森永製菓のホームページを訪れてみると、ピンク色の可愛らしいページに、難易度や場面ごとに分類された、森永製品を使用したレシピを見ることができた。子供から大人まで、誰もが楽しくレシピを学べる印象だ。また、インスタグラムでも、重厚感漂うお洒落な投稿で商品が紹介されており、食欲をそそられた。

バレンタインは私たち消費者がチョコレートと共に想いを伝え、また想いを受け取って心を燃え上がらせる季節だ。同様にお菓子メーカーも、消費者に多くの商品を届けるために奮闘し、心を燃やす季節なのである。

 

「おいしさ」以外で注目されるチョコレート

チョコレートの消費は、遠い地の生産者の暮らしと健康にも影響を与えている。そのことを踏まえた取り組みも、経営戦略の上で重要だ。

森永製菓では、2008年より、「1チョコfor 1スマイル」を実施している。売り上げの一部で、カカオ生産国の、十分な教育環境が整っていない地域で暮らす子供たちを支援する取り組みだ。「チョコレートを食べる人も、その地域の子供たちも笑顔にしたい」という気持ちで活動を推進しているそうだ。

近年、健康面でもチョコレートは注目を集めている。カカオ由来のポリフェノールは血圧低下、動脈硬化予防などに効果があり、乳酸菌は免疫力を高めることが知られている。森永製菓では、カカオの配分量を増やしたハイカカオチョコレートや、乳酸菌を多く含んだチョコレートを販売し、現代の健康志向のニーズにも対応している。

シールド乳酸菌チョコレート<ミルク>

今年のバレンタインデーは、新型コロナウイルスの影響で例年とは少し違ったものとなりそうだ。直接会って、手作りチョコを渡すことが叶わない人もいるだろう。今年は、私たちの手に届くまでの裏側に想いを馳せながら、ゆっくりチョコレートを楽しむのも良いかもしれない。

(西室美波)