外国語教育のすゝめ 英語だけでは不十分なこれから

1年分の講義の選択で多くの塾生が頭を悩ませる4月。

慶大に入学し、どの講義を履修するか迷っている新入生も、心機一転新しく何かを始めたい在学生も、今年は外国語学習に力を入れてみてはどうだろうか。

「外国語教育研究センター」とは

 

慶大は各学部とは別に、「外国語教育研究センター」(外セ)という機関を設置しており、

塾生向けの「特設科目」と「オープン科目(各学部が設置し他学部生も履修可能)」、そして塾生以外も受講できる「公開講座慶應外語」を開設している。

大多数の塾生が学習している英語から、アラビア語インドネシア語ラテン語、といった学習者の少ない言語まで、合計15言語を学ぶことができる。

その中にはタイ語ベトナム語(ともに公開講座)など、どの学部でも必修語学としては履修できない言語もある。

また英語に関しても、経済英語や英語ドラマ、語学試験の対策講座など、学部ではあまり学べない分野に特化した授業が開講されている。

「英語以外」の言語を学ぶ意義

 

今この記事を読んでいる塾生の中には、「英語だけでいっぱいいっぱいで他の言語を学ぶ余裕はない」「そもそも英語以外の言語を学ぶ意義などあるのか」と思った人もいるかもしれない。

社会の中にも存在するそのような意見に対し、所長の七字眞明教授(経済学部・ドイツ語)

「日本では第2、第3外国語よりも英語の習得が優先される傾向にありますが、その後ろ向きの発想が多くの国益を損ねてきました」

と話す。

七字眞明教授、三田キャンパスにて

もちろん現在の社会では英語が最も重要であるものの、ビジネスにおいても学術研究においても、

決して英語だけでは解決できない領域が存在する

ビジネスの分野で言うと、日本企業は他国の企業に比べて英語以外の言語を話せる従業員が少ない。

そのため、経営トップ同士の英語での交渉は行えても、展開先で話されている言語を使った交渉では不利になる

例えば、アウトバーンが存在するために自動車が普及しているドイツではレンタカーの需要が多い。

しかし、現地語を使った現場での交渉がうまくいかないため、近年日本車は営業所でのセールスがうまくいっていない。

また特定の地域における何かを調べたり研究したりする際にも、日本語や英語だけでは十分な情報が得られず、現地の言葉は不可欠になる

「外国語イヤー」の到来

 

そして、2020年は「外国語」にとって重要な年になると教授は語る。

2020年には東京オリンピック・パラリンピックで世界中のスポーツ関係者メディア関係者が日本を訪れる

慶大も日吉キャンパスにおいて、英国代表チームの事前キャンプを受け入れることになっている

また2020年には5Gと呼ばれる新たな通信規格の商用化が見込まれており、大量のデータの送受信が可能となることで、自動翻訳の技術も向上すると予想される。

自動翻訳によって英語を介さずに直接コミュニケーションが取れるようになれば、「国際共通語」としての英語の地位自体が揺らぐ可能性もある

言語文化のダイナミズム ―「規範」と「逸脱」

かといって、自動翻訳ですべてが解決するわけでもない。

「自動翻訳では、一つの言語の『規範』はデータ化できても一人一人が使う言葉の『逸脱』は拾えません」と教授。

各言語には人々の使う言葉をある程度標準化した「規範」が存在する。

しかし地域や話者ごとに言葉は少しずつ変化し、「規範」から「逸脱」したものが生まれる。

それこそが言語文化の持つダイナミズムであるが、今の技術では一つの言語の「規範」はデータ化できても一人一人が使う言葉の「逸脱」は拾うことができない

「英語の運用能力はすべての塾生が身に着けるべきですが、一部の学生には在学中に一つの言語を徹底的に学び、卒業後にその地域で活躍する『専門家』になってほしいです」と教授。

外研をはじめ、慶大にはその環境が用意されている。

今年は外国語の習得に力を入れてみてはいかがだろうか。

 

(髙木瞳)


日吉キャンパスでは4月3日16時からJ11番教室で、三田では同日11時から519番教室で外研の履修ガイダンスが行われる予定(矢上は3月25日に終了)。

新型コロナウイルス流行の影響でスケジュールが変更になる可能性もあるため、 詳細は外セホームページ(http://www.flang.keio.ac.jp/)で確認のこと。

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