塾生の皆さんは、「4月病」という言葉をご存じだろうか。4月の履修申告時に、“意識が高く”なり、一般に単位取得が難しいといわれる講義を無理に履修してしまうという意味だ。このような現象が起こるのは、大学の講義に対して、教養をつける、自らの知的好奇心を高める、深い知識を持った教養人の視点を知る―といった目的を本来塾生の多くが持っているからである。

だが、実際に大学生活を送っていくうちに、大教室で行われる教授との距離が遠い授業や隣の友人との楽しい会話、身近にあるスマートフォンの誘惑などにより、塾生の多くが抱いていた知的な関心を失っていく。これは非常にもったいないことだ。

このような知的な関心を呼び覚ます方法として有効なのは、自分の考えを人と話し深めることだ。その相手が教養を持った人なら、なおのこと考えが深まるだろう。TOKYO FMが主催する「FM FESTIVAL 未来授業」では、そのような貴重な機会を得ることができるのだ。

今年10年目を迎えるこの企画は、各専門分野で日本の第一線で活躍している方をゲストスピーカーとして招き、大学生と授業を行うものというものだ。過去には、建築家の隈研吾氏、サカナクション・山口一郎氏など、様々な分野から選ばれた講師、「知の先達」が大学生と向かい合った。

この授業は、単なる講演ではない。学生たちも主体的に授業へ参加するのだ。まったく異なる専門分野のゲストスピーカーたちが一つのテーマについて対談し、そこへ参加者が様々な疑問、意見を問いかけて一つの考える場を作り上げていく。例えば、今年の東京会場のSESSION 1ではiPS細胞を作製しノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏と、芥川賞作家の川上未映子氏が「<いのち>は一体だれのもの?」というテーマに向き合った。

そこに参加した大学生は次のように語る。「私は、授業を受ける前はiPS細胞を用いて子どもを作ることに抵抗感があったが、山中先生や川上先生の問いかけに対して深い意見が多く出て、とても考えさせられた。授業を終えると私の中にあった抵抗感はほぼなくなり、条件付きではあるが、iPS細胞の活用に賛成できるようになった。私はこの未来授業でいのちというものに対して数多くの考えを聞き、理解を深めることができた。11月4日にこの授業が放送されるので、多くの人に聞いてほしい」

このように、「知の先達」だけでなく、他の学生の意見を聞き自らの考えをさらに深める体験ができる。ラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」に出演中のとーやま校長が司会進行を務め、学生と同じ目線から疑問を投げかけてくれるため、難解な話についていけるか不安だという学生も安心だ。

来る11月4日(月・休)には、今春の東京大学入学式の祝辞で大きな反響を呼んだ社会学者・上野千鶴子氏と“モテクリエイター”として名をはせる「ゆうこす」こと菅本裕子氏を招き、「女子力って必要ですか? モテるって必要ですか? 女子会って楽しいですか?」と疑問を投げかけた公開講義が予定されている。約40名という少人数で濃密な時間を過ごし、考えを深めることができる。

自らの興味、関心をより深めたい、大学の講義じゃ満足できない! という塾生はぜひ参加してみてはいかがだろうか。

https://www.tfm.co.jp/future/fes/

 

(佐々木遥平)