慶大に通う私たちにとって、「ハーバード大学」をはじめとする海外大学は、遠い存在のように思えるだろう。しかし、慶大生が前述のような海外大学生と交流できる、学生主体のプログラムが存在するのだ。

それが、慶大の国際交流プログラムの一つである「HKIC」と、ハーバードキャリアフェア「HCF」である。この二つのプログラムについて、企画に携わっている光澤大智さん(政4)とHKICの代表を務める布施佑亮さん(政3)に話を聞いた。

 

 

HKICについて

HKICは2015年に設立されたプログラムで、8月中に6日間かけて行われる。慶大の学生と海外大学の学生の交流の機会を増やすことが目的だ。「日本の学生の良さや強みを生かせるクリエイティブな人材育成を行う」という理念のもと、主にビジネスプログラムと文化体験プログラムに分かれている。

ビジネスプログラムでは、Softbankやタイミーなどといった企業と連携し、問題に対する実現可能な解決策の考案を目指す企画が行われてきた。一方、文化体験プログラムではロボットなどを使ったテクノロジーに触れるプログラムと、茶道や生け花といった日本の伝統文化に触れるプログラムの二つが用意されている。

日本の伝統文化に触れるプログラムでは、株式会社tearoomと連携してお茶を使った製品の開発が行われた。その製品が実際にANAの機内の客室で披露されたそうだ。また、HKICは田村次朗氏をはじめとする慶大の教授などもアドバイザーとして迎えている。

今年のHKICは8月20日から8月26日の間に開催された。今年参加したハーバード大学の学生は例年よりも優秀な人が多く、日本の学生との交流や提携、チームビルディングが円滑になされたそうだ。

 

HKICの現状の課題

「HKICは学生団体である以上、協賛を申し込む企業などから『クオリティーが低いものだ』という偏見を持たれる傾向にある」と光澤さんは話す。そんな状況の中でも、「HKICの活動が日本全体に与える影響を熱意を持ってアピールし、クラウドファンディングなどで資金集めを効率的に行った。もちろん、今後のこのプログラムをより意義深いものにしていくために、綿密な事前準備は今後も行っていくそうだ。

 

HCFについて

HCJIは、「Havard College Japan Initiative」の略称で、ハーバード大学にある学内団体である。光澤さんは、HCJIと協力してHCFを企画しており、今年は10月31日に開催するそうだ。昨今、アイビーリーグの学生を中国の企業をはじめとしたアジアの企業が大量に採用している一方で、日本の企業はあまり採用できていない現状があった。そこで、この現状に対するアプローチとして、日系企業がアイビーリーグの学生と密接な接点を持てる機会を作ることがHCFの目的だ。

「 しかし日本で働く魅力を知らない学生が多く、アイビーリーグの学生を集めることは難しい」と光澤さんは話す。

 

 

技術革新や情報革命によりグローバリゼーションが浸透し、今後もますます複雑化していく国際社会。現代を生きる海外の学生との交流をアプローチすることは、日本の学生の質の向上や日本のプレゼンスを高めることにつながる鍵となりそうだ。今後のHKIC・HCFの展望に目が離せない。

(鳩山広起)