学生部就職・進路支援担当の発表によると、18年度の慶大卒業者・修了者(博士課程を除く)は8040人であった。進路先報告者のうち、就職者は5805人、大学院・学部進学者は1177人。

18年度の慶大生の就職率は74.3%であり、大学院及び学部進学率は15.1%であった。それぞれの昨年の割合は就職率73.7%、学部進学率16.0%と、ほぼ同様の数値となった。

 

今年度のデータ

上位就職先企業については、東京海上日動火災保険(昨年4位)、アクセンチュア(昨年5位)、三菱UFJ銀行(昨年1位)など、昨年と似た顔ぶれとなった。

業種別にみると、製造業が18.3%で1位、金融・保険業が18.1%で2位、情報・通信業が16.2%で3位。メガバンクを中心とした金融業が近年採用人数を絞る傾向にあり、それが顕著に表れたデータとなった。

一方、コンサルや広告代理店などの学術研究、専門・技術サービス業が、昨年の13.5%から15.7%になり、150名強増加した。全体的な今年度の就職結果について、好景気が続き就職率が高い割合で推移した。

 

近年の塾生の就活傾向

コンサル業界を志望する塾生が増加した。その背景に、海外での活躍を望む人が増加したことも一因ではないかと予測する。そのような人は、今まで総合商社を志望する傾向にあったが、外資系企業が多いコンサル業界に分散するようになった。

塾生の就活における最大の強みは、コミュニケーション能力の高さにあるという。また、塾生は学生時代に自ら能動的に行動している人が多い。自ら社会と関わりを持って活動しているという経験が、面接の受け応えの際に強みになっているそうだ。

 

今後の就活市場動向

学生部就職・進路支援担当の担当者は、報道などで就活のルールが撤廃されたとされているが、それは大きな誤解であるとした。ルールがなくなったのではなく、策定する主体が、経団連から政府に変わったという趣旨だ。

また、経団連と大学とが合意したと一部報道されている「通年採用」について。これは、留学帰りの学生や、日本とは異なるタイミングで海外の大学を卒業する学生などに対して、救済的に行う場合についてであり、現在主流の一括採用との併用を私大連側が求めたものだ。そのため、すべての学生に対して企業がいつでも採用してよいと合意したわけではない、と注意を促した。

 

今年度の就活生へのアドバイス

学生部の担当者は、就職先選びの視野を広げるべきだと話す。多くの塾生は、自分が元から知っている企業しかエントリーしない傾向があるという。しかし、必ずしも「知名度がある=良い企業」ではない。多くの企業に目を向け、自分に合った企業を見つけてほしいとした。

また、「就活生の売り手市場=就活が楽」と勘違いしないようにしてほしいと話す。「どこか受かるであろう」と考えるのではなく、自己分析や興味のある業界の分析などは怠らないようにしてほしい、とした。

(浅川力哉)