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iPS細胞でマウスの慢性期脊髄損傷が回復 患者に希望の光

慶大医学部生理学教室の岡野栄之教授と整形外科学教室の中村雅也教授らの研究グループは、脊髄損傷慢性期(受傷後数週間以降)のマウスに対し、ヒトiPS細胞から作った神経幹細胞を移植することで、運動機能を回復させることに成功した。今後は臨床研究を進めヒトへの応用を目指す。

脊髄損傷とは、外傷による脊髄の損傷を機に損傷部以下に脳からの信号が届かなくなり、損傷部以下が麻痺する病気である。

これまで本研究グループの行った神経幹細胞の移植では、亜急性期(受傷後2週間以内(9日目))の脊髄損傷に対する有効性は確認されていたものの、慢性期の脊髄損傷に対しては有効性が確認されていなかった。今回、慢性期の脊髄損傷に対して初めて神経幹細胞移植の有効性が確認された。

慢性期の脊髄損傷は、損傷部に大きな瘢痕組織と空洞が形成されており、軸索(神経細胞の持つ突起)がこれらを乗り越えて再生することが難しいため、治療が困難であった。

本研究グループはNotchシグナルという神経幹細胞の増殖を促す遺伝子調節経路を阻害することで神経幹細胞の成熟を促した。その結果、損傷脊髄内での移植細胞由来の軸索の再生が増加し、脊髄神経回路の再構築が形成され、モデルマウスの運動機能が回復した。

日本国内の脊髄損傷患者10万人以上のうち、多くが慢性期の損傷であるため、今回の研究は多くの患者に希望の光をもたらすものになるであろう。

岡野教授は「脊髄損傷と同じく神経系の病気である脳梗塞、認知症に対する治療法を確立することが今後の目標である」と語った。

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