大学院校舎4階の343C教室では、茶道会により抹茶がふるまわれている。茶道会は、昭和八年に創立した歴史ある文化団体連盟公認サークルだ。最大の特徴は、他大学の茶道サークルと異なり複数の流派が一緒に活動していることで、現役会員は六つの流派で構成されている。

秋の夜をテーマとした教室内は薄暗く、床は本物の落ち葉で装飾されていた。またテーブルの上には小さな暖色の間接照明が置いてあり、ゆったりとくつろげる雰囲気だった。

菓子は、赤坂にある和菓子店塩野の「武蔵野」だ。カステラのようなスポンジ生地の下に餡があしらわれた浮島という種類の菓子で、「武蔵野」の生地の下は栗蒸し羊羹になっている。抹茶は京都、山政小山園の「式部の昔」である。苦味の中に甘味が感じられ、菓子によく合っていた。

壁に飾られている色紙や茶碗について丁寧な説明があり、外の喧騒と時間を忘れてしまうほど落ち着いて静かなひと時を過ごすことができた。

歩き疲れて一息つきたいとき、立ち寄ってみてはいかがだろうか。

(村瀬 巧)