熊谷恒子と古典

恒子は平安時代の古筆の臨書を繰り返し行ったことにより、その気品あふれる文字を会得したといわれる。館内に展示されている著書『書道 かな―基礎から創作まで―』の中の言葉にも、「いろはから基礎をしっかりと身につけ、古典を十分に知った上で既存のものを打破して違ったものを考え出す、あるいは新しいものを創り出すと言うことが創作の一般」とある。恒子は古典に向き合い、その筆づかいを学んだからこそ、彼女自身の書風を作り上げることができたのだろう。

平安古筆さながらの筆遣いを間近で鑑賞できる(「ものゝふの」柿本人麻呂、万葉集)
凡河内躬恒の長歌をしたためた迫力のある作品(「ちはやふる」凡河内躬恒、古今和歌集)