慶大SFC研究所が、東大生産技術研究所ソシオグローバル情報工学研究センターとともに「BASEアライアンス」を設立した。BASEアライアンスとは、ブロックチェーン技術の国際産学連携グループである。分散したコンピュータにデータを共有するブロックチェーン技術は、優れた改ざん防止機能からビットコインなどに利用されている。
 
運営・研究メンバーの一人である慶大環境情報学部の村井純教授によると、設立の背景には、ブロックチェーンと密接な関係をもつインターネットが大学を中心に発展したことがあるという。ブロックチェーンはインターネットに対し、類似性と補完性をもつ。自律分散型システムという共通点を持ちつつ、インターネットの欠落要素である、信頼できるデータの分散的な管理を可能にするのである。この特徴からインターネットと同様、大学でこそ実現できる研究があるはずという思いから設立に至った。
 
設立には、ブロックチェーンの研究開発において、大学の果たすべき役割を明確にする意図があった。世界中別々に作ったシステムが繋がるか確認する際、大学が日本を代表する組織となる。また、この研究には暗号化、システム構成、技術の適用・応用の3分野がある。各々の大学が得意な分野で自律的に研究した成果を共有し、分野間のオープンな議論を可能にする。
 
情報を個人に集約できるというブロックチェーンの特質は様々な分野に応用が利く。病院単位で管理してきた患者の情報を分散管理することで、患者の投薬履歴を医師が確実に把握できる。大学での身体計測の結果や卒業証明書は大学の一括管理から開放されるのだ。
 
大学は多方面の専門分野をもつ者が集う。「ブロックチェーンを応用できると思いついた者が主体となって実験できる場に大学がなっていきたい」と村井教授は語った。