大学日本一を目指しチーム一丸となる
大学日本一を目指しチーム一丸となる

昨年度、慶大蹴球部は春のオープン戦で全勝と勢いに乗って対抗戦に臨んだ。しかし蓋を開けてみると、初戦の日体大戦に敗れるなどして、結局4位で対抗戦を終えることとなる。一体慶大に何が起こり、このような結果をもたらしたのか。
「昨シーズンの春は勝利をつかむことだけを考えて、余計なことを考えずに我武者羅にやっていた。けれど、秋になると自分たちの中での決めごとに終始とらわれすぎてしまって、色々と自分たちの中で判断ができなくなってしまった」
そう語るのは今春より新しく主将として、チームを引っ張る立場となったFL松本大輝(環4)だ。
「皆、気合もあったし、精神的に問題があったわけではない。けれど、監督がよく『ベストゲームがなかった』と言っているように、自分たちが固いラグビーをしてしまった」
だが逆に、それを糧にしたことで、今季にかける皆の意気込みは例年とは違うようだ。
「今年は皆のモチベーションがすごく高い。練習に対する取り組みであったり、主将としてすごいやり易さを感じる」
もちろん、主将自身も自分の中での変化を感じているようで「今まで100%で練習に取り組んできたつもりだったけど、実際主将になってみてぬるかったなと感じた。これからは4年生として、また主将としてどんな場面でも一番声を出していきたい」と力強く語る。
基本慶大は、キックを蹴り相手陣地を取っていく「エリアマネージメント」を重視する戦術をとる。フィジカル面で他大のFL陣に劣ってしまう分、キックを多用し、接点の攻防を極力排除するのが目的だ。そのコンセプトに今年も変わりはない。その中でも如何にアグレッシブさをもってチャレンジしていけるかが鍵だと、主将は語る。
では、昨年の二の舞にならないためにもどうするのか。ここで出した結論が、早い段階からの実戦形式の練習の取り入れである。
「昨年までの夏合宿序盤は基本的なスキルの向上に意識を置いていた。けれど今年は、昨年までの積み重ねがあるから、春の段階から実戦に近い形で練習をしている。実戦と同じ形式で練習を積み重ねていくことによって、様々な状況への対応力を磨いていきたい」
いかに接点での攻防を減らせるかが重要であるかは、昨年、皆が実感したであろう。そのために要求されるのが、規律にとらわれない瞬時の状況判断力。その方向性に誤りはない。
また、その上で慶大には越えなくてはならない壁がある。ここ数年、大学王者に君臨している早大だ。主将自身もそのことに対しては「どの相手と戦うときも常に全力だが、早稲田と戦うときはやはり特別。慶大には大学日本一と打倒早稲田という2つの目標があって、早稲田は絶対に負けられない相手。今まで対抗戦では全部負けているので、今年は絶対に勝ちたい」と打倒早稲田に懸ける思いは強い。
その中でも慶大の命運を握る存在として、主将かつFLというポジションである彼の役割は大きいだろう。
「主将として常にグラウンドに居続けることを目標にしている。怪我というものは、突発的なことで防ぎようのないことかもしれないが、何があっても常にグラウンドで先頭に立ってチームを引っ張り続けていきたい」
松本はそう語った。今季の慶大には何かを起こしてくれそうな雰囲気が漂っている。
(飯田拓也)