慶大は、日吉記念館の建て替え計画を再開することを2月28日に発表した。完成後の建物は現在に比べ、規模が大幅に拡大する見込みである。

日吉記念館の建て替えは、当初「慶應義塾創立1‌5‌0年記念事業」として計画された。事業は2‌0‌0‌5年から10年間に渡り行われ、協生館や第4校舎独立館の建設、三田南校舎の建て替え、横浜初等部の開設などが、実行に移された。

しかし、2‌0‌0‌8年に起こったリーマンショックの影響もあり、慶應義塾の財政状況が悪化したため、事業計画を延期もしくは縮小することになり、その一環として、日吉記念館の建て替え計画は延期されたのである。2‌0‌0‌9年に計画の延期が決定され、耐震補強を施した上で現在に至っていたが、竣工から60年近く経過した今年、計画が再開される。

慶應義塾管財部によると、現在の施設は、地上3階、地下1階建てであるが、建て替え後は、地上5階、地下1階建てとなり、延べ面積が約2倍になるという。収容人数も6‌5‌0‌0人から約1万人と大幅に増え、アリーナの面積も少し広くなる。

日吉記念館は現在、入学式や卒業式等の式典、体育の授業、体育会の練習等に利用されている。建て替え後、収容人数増加は式典等の開催時の利便性向上につながり、アリーナの面積拡大は体育施設としての充実が期待される。

建て替え工事期間中は、日吉記念館を利用することができなくなる。式典や体育の授業などの代替施設に関しては、現在検討・準備中だ。地域の避難場所にも指定されているため、現在、工事期間中の対応などを行政と協議中である。工事に伴い、周辺の植え込みがあるエリアも立ち入り禁止となり、スポーツの練習や休憩場所として利用できなくなるほか、キャンパス内の駐車スペースも縮小されることになる。また、工事車両が並木道を往来することが予定されているが、安全には十分配慮するという。

日吉記念館は、「慶應義塾創立1‌0‌0年事業」の一環として1‌9‌5‌8年に建設された。完成直後、創立1‌0‌0年記念式典が行われ、昭和天皇も臨席した。例年の三田祭前夜祭では、多くの有名歌手がその舞台に立ち、様々な歴史をつくってきた。

塾生だけでなく多くの著名人も訪れた日吉記念館は、今年10月に準備工事が着手され、三田祭前夜祭終了後の11月上旬から解体され、来年の4月には、本体工事が始まり、2‌0‌2‌0年3月に竣工する予定である。同年に行われる卒業式は、建て替え後の日吉記念館で開催される予定だ。

新しい日吉記念館が完成する2‌0‌2‌0年には、東京オリンピックが開催される。今年3月、慶應義塾大学と英国オリンピック委員会は、日吉キャンパスにおいて英国オリンピック代表チームによる事前キャンプ(計13種目)を受け入れる内容の契約を交わした。日吉キャンパス内の蝮谷体育館、陸上競技場とともに新しくなった日吉記念館も使用することになっている。

記念館完成後には、さまざまな施設利用が期待される。
(山本啓太)

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日吉記念館建て替え後の予想イメージ (提供:慶應義塾広報室)
現在の日吉記念館 (提供:慶應義塾広報室)