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【特集・ニュースの裏側】池上彰さんに聞く ニュース解説のコツ

「政府ってなに?」

小学生に突然このように聞かれたら、あなたはどう答えるか。政府というのは、内閣とそれを支える人を指すが、大多数の人はこの質問に困惑するであろう。池上彰さんはこのような素朴な疑問から難解なニュースまでわかりやすく解説し、老若男女を問わず幅広い世代に人気だ。

1‌9‌7‌3年に慶大を卒業後、NHKに就職し報道記者として活躍。1‌9‌9‌4年からは「週刊こどもニュース」で11年間お父さん役としてニュースを解説した。

番組を担当していた時は、失敗の連続だったという。例えば「政府ってなに?」と子供たちに聞かれ、答えることができなかった。この失敗で、小学生が何を理解していないか、また日常的に使っている言葉を自身がいかに理解していないかを知った。

池上さんはどのようにして、ニュースをわかりやすく伝えられるようになったのか。必要なのは「本質的理解」と「想像力」だという。

池上さんは、ニュースを本質的に理解するため、多くの情報を収集する。日頃から12紙もの新聞に目を通すことで、一般人が疑問に思うであろう事柄を見つけている。それをきっかけとし、本を読み理解を深めている。このように、ストックとしての知識を増やすことで、日々流れる、フローのニュースが理解しやすくなる。この情報収集術により、大量の新聞を読む時間は大してかからないという。

ニュースを本質的に理解することで、専門家になることはできる。だが、それだけではわかりやすく解説することはできない。そこで必要なのが「想像力」だ。

「想像力」とは、受け手が何を理解していないかに気づくことができる能力のことだ。池上さんは「週刊こどもニュース」に出演したことで、小学生が何を理解していないかを想像できるようになった。「常に頭の中では、小学生の池上くんがツッコミを入れている」と語る。

受け手の立場を常に想像するということはわかりやすさだけではなく、受け手の属性に合った説明をすることができる。

例えば発信する媒体によっても解説する方法を変えている。字幕の無いテレビは本とは違い、耳のみで理解することになる。そのため同音異義語で誤解を招く言葉は使わない。また録画をしていない限り見直すことはできないので、常に前に戻らなくても理解できるように心がけている。

さらにテレビ番組では放送される時間を考え、どのような視聴者が観ているかを常に意識している。

池上さんのニュース解説が群を抜いてわかりやすい秘訣は、ニュースの本質的な理解に留まらない、受け手への配慮だろう。子供たちに聞かれた質問をきっかけに、「知っていて当然」と片付けられてしまうことに対し切り込めるようになった。それが池上さんの「わかりやすさ」の本質だろう。
(山本啓太)

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