2009年2月28日、東京青山スパイラルホールで開催された第2回学生デジタル作品コンテスト授賞式において、本塾生2人が見事、グランプリを受賞した。受賞したのは菅順史さん(環3)と、時田亜希夫さん(環2)。普段、1~4年生の生徒が集まった同じ研究会で共に勉学に励みながら、学生生活を送っている2人。そんな彼らに授賞式から数日経った3月初め、お話を伺った。

―まず始めに、学生デジタル作品コンテストグランプリ受賞、おめでとうございます。率直な感想を。
時田 うれしいです。まず2人で映像を作ってコンペに応募しようという企画があったんです。ただ条件に合うところは少なく、アップルの学生デジタル作品コンテストはその数少ないコンペの一つでした。自分たちが作ったものを世の中に発信することもできましたし、本当に受賞できてよかったです。
―周りの作品を見て、手ごたえはありましたか?
菅 自分たちの作品は、周りの人たちの作品と比べて少しジャンルが違うので、審査員の評価は割れるだろうとは思っていました。けれど、自信はありましたね。
―では、作品そのものについて伺っていきましょう。作品のテーマは何ですか?
時田 2つあって、複数画面と小型ディスプレイの携帯性です。
―工夫した点を教えて下さい。
菅 複数の画面で面白い表現ができないか、まずアイディアを出すところから始まりました。それからiPodの画面で再生する映像と、手でiPodを動かす映像を撮るというように、撮影を二段階設けました。また、アイディアそのものを活かすために余計な内容を入れないことにも注意しましたね。
―気に入っているところは?
時田 軸となった複数画面のアイディアはもちろんですが、人の手が映るといい映像になるなと思いました。
―では逆に、困難だった部分を挙げると?
時田 撮影は大変でした。タイミングを合わせて手を動かすのが難しく、何度もその一連の動きを練習しました。体で覚えるしかなかったですね。
―制作にはどのくらい時間をかけたのですか?
菅 始めたのは5月の終わりくらいからです。最初に奨励金の申請をしていて、とにかくそれが下りるまでに時間がかかった。そのあと、締め切りが9月末だったので、8月末までにアイディアを出し合って、取り組み始めたのはそこからです。最後の4日間くらいで撮影、編集、撮影、編集と1日ずつ繰り返して仕上げました。だからそこまで作業自体に時間をものすごくかけたわけではないです。
―デジタルコンテストに参加してみて自分の中で変わったもの、または、得たものはありますか?
菅 「自分の土俵で戦う」ことの大切を実感しました。編集技術を駆使した作品は周りにいくつもあったのですが、自分達は余計な編集をせず、企画を重視した作品を作りました。これが結果的に評価に繋がったのではないかと考えています。そういった意味で「自分の土俵で戦う」ことの大切さを改めて実感しました。
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今回のインタビューで感じたのが、彼らの自分達の作品に懸ける強い自信だ。「自信はあった」「他の作品とは違う」と何度も繰り返していた。そういった強い信念が今回の受賞に繋がったのであろう。今後、菅さんは就職、時田さんは進級と2人は共に別々の道を歩むわけだが、様々な分野での彼らの活躍に期待したい。なお、受賞した作品はアップルHP(http://www.apple.com/jp/students/gallery/)で見ることができる。
(飯田拓也)