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科学用語の「誤解」 誘因を考える

自然科学研究教育センターの第36回講演会『科学はなぜ誤解されるのか―科学啓蒙の落とし穴―』が先月20日に開催された。講師は翻訳家・科学ジャーナリストの垂水雄二氏である。

科学の概念や用語を聞いても、意味が正確に伝わるとは限らない。例えば「遺伝子」は遺伝や病気、自然淘汰などの単位となる多義的な概念だが、「全てを決定する」という誤認が流布している。

外国語の科学用語を「翻訳」するという過程が挟まるとさらに厄介だ。異なる文法や価値観を経由するため意味や解釈が不適切な訳語が生まれる可能性がある。垂水氏は翻訳の難しさを「異文化コミュニケーション」と表現した。

意味の歪曲、すなわち誤解は個人の勘違いから国家規模の不都合にまで発展する危険がある。これを防ぐにはどうすれば良いのか。科学の伝達をコミュニケーションとして捉えたときの3者、すなわち「科学者(送り手)」と「世間(受け手)」、そして科学記者や翻訳家などの「科学コミュニケーター(媒体)」それぞれの立場から論じられた。

まず科学者は公正に論文を審査し、また成果の誇大広告を避けるべきだ。根拠なく「○○で癌が治る」などと豪語してはいけない。対する科学コミュニケーターは「『より妥当なもの』を伝える義務がある」と説明された。己の著作に責任を持ち、適切な精度で語り、事実に反するものを取り除く役割が求められる。受け手である我々は、物事を自分に都合良く解釈したり、経験だけを頼りに判断したりしないよう気をつけなければならない。

「理解」のメカニズムに「誤解」の誘因がある。それを認識した上で科学に接するべきなのだ。

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