論説

論説 2016年6月号

選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が、今月19日に施行される。国政選挙で18歳有権者が誕生するのは今夏の参院選の予定だ。すべての塾生が有権者になる。特に未成年の塾生は、戸惑いも多いだろう。

そもそも、選挙権年齢引き下げの狙いは何か。「シルバー・デモクラシー」という言葉をご存知だろうか。有権者のうち、高齢者が占める割合が多い日本の政治は、若い世代よりも高齢者向けの政策が重視されているという指摘がある。

例えば、社会保障において世代間格差がとくに大きい。年金制度や介護への支出が膨大になっていく一方で、教育や子育てに充てられる予算は依然として低い水準にとどまっている。若者にとって「負担」に見合う「受益」が得られている実感は少ないだろう。

国は、世代間格差を埋めるために社会保障の仕組みや税制を変えようとしてきたが、なかなか進んでいないのが現状だ。現行の制度で高齢世代に負担を求めることは容易でない上、政治家は有権者が「好む」政策を打ち出さないと、選挙に勝てないからだ。どうしても多数派の意見が尊重される。

しかしながら、少子高齢化がますます進み、将来世代の暮らしが苦しくなることは必然である。これからの将来を担う人たちの意見が反映されにくい選挙制度は、不条理だ。今回の選挙権年齢引き下げにより、若い有権者が全国で2‌4‌0万人増える。若い世代が与えられた権利を行使すれば、数字上では、当落を左右することも十分にありえる。

有権者になれば、選挙運動もできる。SNS上で選挙運動を行う、メッセージを広めるなど、特定の候補者の当選を目的とする活動も可能になる。昨年の安保法案議決では、SEALDsなど、大学生を中心とした若者が新しいやり方で積極的にデモに参加する姿が話題になった。学生の選挙運動でも、政治に一石を投じられる可能性は十分にある。

自分の意見を持って、それを表明する勇気を持ってほしい。その第一歩は自分で考え、票を投じることだ。そのために、新聞や本、ニュースに触れ、世の中のことに敏感でいる必要がある。若者が社会の担い手としての自覚を持ち、主体的に政治に参加する姿勢が求められる。

実家を離れ一人暮らしをする塾生も多い。住民票を移さなくても、選挙区外で投票する方法もあるので、せっかくの一票を、無効票にせずしっかり活用してほしい。

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