先月15日、早慶水上スキー定期戦がMGマリーン鹿島にて行われ、慶大水上スキー部は体育会昇格後初の早慶戦で勝利をつかんだ。

水上スキーの試合はコースの左右のブイを1つずつ回り、回ったブイの個数を競うスラロームと、成功した技の難易度で得点が決まるトリック、ジャンプの3種目に分かれる。早慶戦ではスラロームとトリックの2種目が行われた。種目ごとに男女別で最も得点の高かった者を1‌0‌0‌0点とする換算点を出し、上位3名分を合計して勝敗が決まる。

提供 : 慶應義塾体育会水上スキー部
提供 : 慶應義塾体育会水上スキー部
スラロームでは、強風の影響で波が大荒れになり早大がスコアを取れないなか、慶大の井澤(政4)がスコアを伸ばし、1位になった。結果、合計換算点2‌6‌0‌0―1‌3‌5‌0と早大を大きく引き離した。トリックでは久保田(経4)と向(政4)が活躍し、2‌8‌8‌8‌.‌4‌9―2‌3‌3‌0‌.‌3‌0‌で勝利した。




スラロームとトリックの合計は5‌4‌8‌8‌.4‌9―3‌6‌8‌0‌.‌3‌0と早大に圧勝した。また、水面が荒れる中ダブルクリアを果たした井澤に最優秀選手賞、早大の真田に優秀選手賞が与えられた。

試合後、監督は「4年生がトリックで結果を出せなかった。インカレではここが課題になるだろう。ただ、井澤は水面が悪い中でも良い判断をして最初の速度を落として滑ったことで、スコアを伸ばせた」と語った。

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慶大水上スキー部は今年度、体育会新種目団体から体育会の正式な部活に昇格した。OB・ОGや部外の人に推薦状を書いてもらうなど、多くの協力のもと、夢が叶った。主将の井澤健太朗さん‌は「初代体育会主将になったが、自分が頑張ったからというわけではなく、先輩方のしてきたことが今年評価されたというだけ。感謝の気持ちでいっぱいです」と語る。体育会の一員として認められたことを嬉しく思う反面、昔から真摯に努力してきたので、気持ちの面で大きな変化はないという。

そもそも水上スキーという競技を知らない人も多いだろう。水上スキー部員も全員が入部当初は未経験者。「努力次第ですぐにうまくなれる」と井澤さんは語る。魅力は約80キロメートルの速度で滑る疾走感。また、水上スキーは駅伝のように個人競技でありながら団体戦で戦うため、全員でチームメイトを応援し、一つの勝利に向かって団結するということも他にない魅力だという。

水上スキー部は今年度の早慶戦で圧勝。昨年度のインカレでは準優勝している。強さの秘訣をうかがうと、「どこよりも真剣に取り組んでいるという自負はあります」と語った。江戸川で毎週月曜の日の出から土曜の日の入りまで、授業のない時に自主的に、冬は12月の第1週まで精力的な練習を日々積んでいる。

活動は練習だけに留まらない。慶大がマイナーな水上スキー界を先導するということにこだわり、都内近郊で競技をできる場所はないかと検討している。早大の部員不足などにより長く歴史が途絶えていた早慶戦も2年前に復活させた。部の目標はインカレ優勝。体育会に昇格したからといって、インカレで負けてしまっては意味がないと、練習に励んでいる。

一般的にはマイナースポーツと言われる水上スキー。しかし部員たちには、慶大が水上スキー界を引っ張っていくという熱い想いが見えた。部と競技の発展に期待したい。
(井上知秋)