政界、経済界で勝敗の鍵を握るのは、いかにライバルと差をつけより多くの人を惹き付けるか。近年は人々を動員する方法の一つに、ネットやSNSといった多様化した媒体を利用した「メディア戦略」がある。

当日は応援席を盛り上げるぞ
当日は応援席を盛り上げるぞ

慶早戦勝利のためにも、いかに敵より多くの塾生を動員するかは重要な課題だ。慶大はこの戦いに際しメディア媒体をどう利用しているのか。今回は慶大のPR部門を担当する慶援指導部のユニコン君に話を伺った。

慶早戦の宣伝に利用するのは、主にfacebookとTwitterだ。まず慶援指導部facebookページでは、例年3月から体育会の各部を紹介する。連日リレー形式で體育会の各部を訪ね、競技の魅力や部活動の内容を取材している。彼らは体育会の新歓も応援するのだ。

部活紹介の記事の最後には、次の日に紹介される部への一言メッセージが入る。「慶應の體育会は他の部同士とも仲が良く、全体で一家族のようなもの。そんな絆の強さをしってもらうための工夫なんだ」という。
ユニコン君には公式Twitterアカウントが存在する。慶早戦の告知だけでなく、六大学野球シーズンには各試合の実況ツイートもしている。

昭和37年から慶應に在学し塾生からの認知度も高いユニコン君とはいえ、6000を超えるフォロワー数は芸能人にも並ぶほどだ。

今年からは新しい挑戦として、大学生の間で流行中のinstagramも始めた。こちらのアカウントは恋人(?)のユニ子ちゃんが担当する。女子にも興味を持ってもらえるよう、おしゃれに加工した写真を投稿している。うまく使えば新しいファン層を取り込めそうだが、いまのところ認知度は低くフォロワー数も伸び悩んでいるそうだ。

早大で「妥当慶應」を吠えるのは、ライオンをモチーフにしたキャラクター「わーおくん」だ。「彼に関しては、心配いりません!友達の数は余裕で慶應が勝っています!」そういって見せてくれたのは、Twitterのアカウント画面だ。
フォロワー数はユニコン君の6800越えに対しわーおくんは3800強(取材当時の記録)と、確かに圧勝だ。

慶早戦のメディア戦略について分かったところでやっぱり気になるのは、ユニコン君とは一体誰なのか、ということだろう。彼には「中の人」が存在するという噂もある。慶援指導部関係者に尋ねたところ「みんなの心に、ユニコン君はいます。ユニコン君は、一人であって一人じゃない」

彼は何者なのだろう。気になっていつの間にか「いいね!」している。フォローしている。そしていつの間にか、彼に会いに球場へ足を運んでいる。ユニコン君の存在こそが、最大の戦略兵器なのかもしれない。
(上山理紗子)