慶大の清家篤塾長が参加している学術研究懇親会(RU11)は今月4日、大学における学術研究資源を活用した基盤の戦略的強化について緊急声明を発表した。国立大学法人が平成28年度から第3期中期計画期間に入る前に、研究資金投入の在り方を見直す必要性を発表したものだ。国立・私立の大学を問わず、学術研究の継続が重要であることを提言した。

第一に、国立大学の特別経費プロジェクトである「教育研究プロジェクト」が第3期中期計画以降も継続されることを求めた。このようなプロジェクトでは大学改革のきっかけとなるような新たな教育研究の取り組みが行われている。大学の機能強化を果たすため、プロジェクトを中断することへの危惧を発表した。

第二に、G―COEプログラムや博士課程教育リーディングプログラムなど大学院教育を強化するための事業について、国による恒久的な財政支援を求めた。大学側がプログラム終了後も事業を恒久化することは限られた財源では難しく、第3期における運営費交付金の配分を、これらの事業の成果を十分に評価したうえで行うべきだと発表した。

今後の世界的競争を勝ち抜くうえでは科学技術力が重要だとされる一方、国立大学の法人化以後、組織運営に関わる財源の不安定化と重点プロジェクトの短期的な促進が起きた。その結果、大学の組織基盤が弱体化し、若手の研究人材の育成や雇用の劣化を招いているという。

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【語句解説】
RU11とは、東大や京大などの旧7帝大と慶大、早大、東工大、筑波大が参加し、国全体の総合的な大学研究力強化に向けて連携した活動を行う組織。学術の発展を目的とし、研究と高度な人材の育成に重点を置いている。