企画

【納涼特集 涼しむ、夏】浅草で触れる演芸の心

観客と作る空気は浅草ならでは

観客と作る空気は浅草ならでは

寄席を見て人生豊かに

浅草演芸ホールは渥美清やビートたけしなどの著名人を数多く輩出してきた歴史ある寄席だ。浅草という芸の街に根付いてきたこの演芸ホールには高齢者だけでなく、学生も訪れる。とはいえ、まだ多くの学生にとって馴染みの薄い寄席の世界にはどんな特徴があるのだろうか。

「寄席とは、1年365日落語を聴くことができる演芸場のことで、芸の百貨店のようなもの」と浅草演芸ホールを運営する東洋興業株式会社社長の松倉由幸さんは話す。寄席では落語や漫才はもちろん、紙切りやものまねなど多岐に渡る芸が披露される。しかし寄席は専門店ではなく、あくまで多様な笑いを提供する場だ。来場者にはそこからお気に入りの芸人を見つけてもらいたい。興味のある芸人が一人でもいれば、寄席に足を運び、もっと深く知りたければ「独演会」や「二人会」などの「ホール落語」を訪ねる。寄席とはそういう場所だ。

「芸人さんは高座に出てからネタを決めるし、お客さんとのやり取りも多い。お客さんが『関わっていける』のはライブならではの生の良さ」と寄席の特徴の一つを松倉さんは挙げる。浅草は芸人に対して寛容な街だ。寄席の持つ温かでおおらかな空気はそこから作られる。気取らず親切な浅草の人は、街全体で芸人を応援する。「芸の街」として歴史を重ねてきた街ならではの雰囲気が浅草演芸ホールには漂う。

また寄席は全席自由席で飲食も可能だ。それだけでなく、好きな時間から好きな時間まで楽しむことができるなど自由度が高い。時事ネタなどを話題とする落語や漫才も多いため、初めて訪れても十分に楽しめるだろう。落語だからと敬遠せず、気軽に覗いてみて欲しい。

しかし、やはり敷居が高いと感じる人もいるだろう。そういう人にはぜひ「お目当て」を見つけて観に来てもらいたい。

同ホールにはお笑い芸人のナイツや落語家の春風亭小朝といった有名な漫才師、落語家が出演する。そういった出演者の出る日にあえて行ってみるのも面白いだろう。またホールの前で呼び込みをしているスタッフにお薦めの芸人を聞いてみるのも、寄席をもっと楽しむための一つの方法だ。

松倉さんも学生の頃は落語の良さがあまりわからなかったという。しかし、落語にはその場の笑いだけでない奥深さがあって人生勉強になる。
「落語のそういった部分をゆっくり消化して、人生を豊かにしてくれれば」と呼びかける。

浅草演芸ホールでは夏に、「浴衣割引」がある。今年は7月1日から8月30日までの予定で、浴衣を着ていくと入場料が割引される。花火大会やお祭りなどでしか着ないが、それだけではもったいない。

恋人や友達と雷門から人力車で浅草を観光して、それから演芸ホールに立ち寄るなど、浅草を浴衣で練り歩くのも風流だろう。  (向井美月)

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