リーダースキルを部活に実践

先輩部員による半学半教の授業が展開される

体育会部員による教育プログラム

三田キャンパスの坂を西門に向かって下ると見えてくる体育会本部。そこでは、LEAPというプログラムが開催されている。一方的な講義ではなく一緒に考えるという特徴から「塾っぽくない塾」とも言われるこの教室ではいったい何が行われているのだろうか。

LEAPとは、2002年から行われている慶應義体育会部員を対象とした教育プログラムである。「Leadership Education Athlete Program」という名前の通り、リーダーシップ、マネージメントに必要なスキルを体系的知識として習得し、それを部活で実践することを目的としている。さらに、社会に出てからも先導者として活躍できる人材の育成も目的だ。

全3日にわたる社会組織活動編では、塾体育会卒のOBが講師を務め、10項目のスキルを扱う。セッション終了後には、後日、塾体育会卒の一部上場企業の社長への訪問も行う。また、全2日にわたる部活動編では、7つのスキルを扱い、先輩部員が講師を務める。

扱うテーマは、創造性開発力、計画力、時間管理力、コミュニケーション力などさまざまだ。それぞれを一回90分のセッションで扱っていく。

たとえば、時間管理力の回では、優れたリーダーがどのように時間を使うかを説き、実践する方法を考える。まず自らの一日の時間の使い方を15分刻みで書き起こし、それをもとに各行動を緊急性と重要性に応じて分別し、優先順位をつける。優れたリーダーは、「緊急」かつ「重要」な仕事に追われるのではなく、「緊急でなく」かつ「重要」な問題を重視し、将来起こりうる問題に対して「予知して準備する」ことを重視することを説く。受講生にとっては、自らの時間の使い方を変えるきっかけになる。

LEAPのセッションは、一方的な講義ではなく、実在する企業や講師自身の実体験を交えた説明やグループディスカッションなどを通じて共に学んでいく「半学半教」が大きな特徴だ。16人ほどが集った教室は皆が積極的に発言し、活発な空気に包まれている。

先輩部員として講義を行う後藤陸さんは「自分の考えを相手に伝えるのは難しい。だが受講生が心から共感をしてくれ、セッションをきっかけにLEAPで学んだスキルを実践してくれたときにやりがいを感じる」と話す。

生徒は、教室を出た後もLEAPで学んだことを実践したくなるよう目標記述書を書く。目標設定を行い、現在のレベルとの差異をどう埋めていくか、講師からアドバイスを受けながら考える。それを実際の生活において実践していくのだ。

「常に自分を磨き続けるという気持ちを全員が持てば、強力な組織が生まれる」というのは、体育会のみならず、どんな組織でもいえることだ。現在は体育会の学生のみに公開されているプログラムだが、体育会本部ではLEAP創設者の中野森厳氏による著書『グレートリーダーたれ!』が販売されており、誰でも手にすることができる。

文武両道を目指す體育會部員は塾生の憧れだ。彼らの活躍の裏にはこのような自発的な学びによる努力があった。 (増田絢香)