ラテンアメリカ研究へのいざない

ラテンアメリカの魅力を語る大久保教授

日本から最も遠く、なじみのない地域、ラテンアメリカ。しかし今年はベネズエラの政治家であるチャベスの死去、アルゼンチン出身のローマ法王誕生、ドミニカ共和国のWBC優勝などで、日本でもラテンアメリカが大きく取り上げられた。古代文明の遺跡や、野球・サッカーの大国として、以前から注目を浴びているが、未だに不明な点が多く、今後研究がますます盛んになると期待されている。法学部の大久保教宏教授に、ラテンアメリカ研究について話を伺った。
慶應にはラテンアメリカ研究者が多い。スペイン語の履修者増加に応じて教員を増やしたところ、ラテンアメリカを研究している教員が多く集まったという。日吉で開講されている「ラテンアメリカ研究Ⅰ」や「地域文化論Ⅱ(ラテンアメリカ)」は、オムニバス形式の授業。研究対象国も分野も異なる7人の教員の講義を聴くことができる。 高校までの授業で取り上げられることが少ないため、学生たちはラテンアメリカへの関心がもともと薄い。はじめはさほど関心がなくても、授業を受けてみて面白そうだと思ってくれたら理想だと教授は話す。

知られざる地球の裏側
国や地域の個性が強く、驚きが多いことがラテンアメリカの最大の魅力だ。教授はこれまで訪れた10カ国での体験と当時の驚きを話す。25年前にニカラグアとコスタリカの国境をバスで越えたとき、ニカラグア側には軍の施設が並び、コスタリカ側には観光案内所がおかれていた。国境を越えると、環境が一転することがラテンアメリカではよくあるそうだ。まだ足を踏み入れていないペルーやアルゼンチン、チリといった南米の国を訪れ、また新たな発見ができると思うと、研究していてよかったと教授は話す。
教授が考えるラテンアメリカ研究の意義は、世界規模での視野を養えること、そして先進国の論理でとらえてしまいがちな途上国の論理やシステムを理解できること。また、大半がスペイン語を公用語とするため、研究対象国を移しやすい。大久保教授はこれまでメキシコやコロンビアで研究をしてきたが、来年はコスタリカで宗教問題を歴史的な観点から研究する。
今の学生は視野が広く、幅広い知識を持っている。しかし、「何か一つ面白いと思ったことを自分なりに深く掘り下げてみるのも、大学での学びの魅力ではないか」と教授は話す。慶大にはラテンアメリカに限らず、知的好奇心を満たしてくれるさまざまな授業が用意されている。色々な分野の授業を履修し、興味のもったことを深く研究してみてはいかがだろうか。  (岡庭佑華)