先月11日、慶大ビジネス・スクール(以下KBS)主催の公開講座「アベノミクスの持続可能性」が東京駅のステーションコンファレンスで開催された。慶大大学院経営管理研究科の准教授である小幡績氏が講師を務めた。
同講座はKBSの説明から始まった。KBSではそれぞれの事案について議論するケースメソッドを取り入れている。しかし議論することや結論を出すことが目的ではなく、新しい「何か」を発見することが重要だという。小幡氏は「真実は存在せず、現実があるだけだ」とし、議論は答えを当てるものではないことを語った。
小幡氏は続けて株式市場でも同様のことが言えると述べた。株価を予想しても正解は存在し得ず、ただ現実としての株価が存在するだけだとした。
最後に本題となるアベノミクスの持続可能性について考察が行われた。小幡氏によればアベノミクスの定義がまだ曖昧であるという。だが安倍首相の打ち出す政策をアベノミクスと定義すればその要はインフレを起こそうとするリフレ政策である。
しかし、不景気にインフレが起これば所得が増加しないまま物価が上がってしまうため、景気はさらに悪化してしまう。また「世界的にもインフレを起こそうとする中央銀行は存在せず、金融緩和を図るにもインフレは障害である」と小幡氏はアベノミクスを批判した。
最後に質疑応答で「小幡氏ならどのような金融政策を行うか」という質問が投げられた。小幡氏は「大胆な金融緩和は行わず、国債発行をなるべく減らして成長戦略は諦める」と答え、講座を締めくくった。