「さとり世代」という言葉をご存じだろうか。生まれたときからの不景気による社会の閉塞感から、あまり消費せずまったりとした暮らしを望み、頑張っても仕方ないと仙人のように悟っている若者を指す言葉だ。具体的な特徴は、消費せずに貯金する、車やブランド品に興味がない、過程より結果を重視、恋愛には淡泊、地元志向が強いなどだ。今回塾生対象にアンケートを行い、塾生も世間の若者同様、さとりの傾向があるのか調査した。

将来を見据えて現実的に
まず第1問、「今は消費するより貯金したいですか」という質問に60%(69人)が「はい」、40%(46人)が「いいえ」と回答し、貯金したい人がやや多い結果となった。
貯金する理由は、「短期留学や旅行のためにお金を使いたい」(3女)というように旅行、留学を理由に挙げる人が多かった。一方で「本当にやりたいことが見つかったとき、お金が絶対必要だから」(2女)、「結婚の資金を考えるようになった」(3男)といった将来を見据えた意見も少数ではあるが存在した。「いいえ」と回答した人の理由は、「大学生活はお金が必要なので、貯めている余裕はない」(1男)、欲しい物は欲しい。我慢できないしする必要もない」(1女)など、今消費したいという欲求が見られた。
次に第2問、「車やブランド品に興味がありますか」という質問には、「はい」と回答した人が37%(43人)、「いいえ」と回答した人が63%(72人)だった。ブランド品に興味がない塾生が比較的多いという結果になった。
最後に第3問、「過程より結果を重視しますか」という質問に66%(76人)が「はい」、34%(39人)が「いいえ」と回答した。3つの質問の中で「はい」と回答した人が一番多かった。
結果を重視するという意見の中では「受験や資格など世の中がそうなっている」(1男)、「過程が良くても結果が出なければあまり評価されない」(3女)といった世の中の仕組みに着目しているものが目立った。反対に過程を重視するという意見では、「結果は一時的な成果。過程は今後の自分の糧になる」(1男)、結果にたどり着こうとする意志やプロセスに価値がある」(1男)など過程を自分の成長につなげようとする姿勢がうかがえた。
アンケートを通して、塾生はさとり世代に見られる特徴に当てはまる人が多いということがわかった。また、近い将来にやりたいことがあって貯金したり、世の中の視点を考えたりと地に足がついている塾生が多かった。これから社会がどのように変化しても、このような姿勢は大切になってくるのではないだろうか。 (矢野将行)

【調査方法】2013年5月時点で在籍する塾生を対象に実施し、WEB上で回答を募集。調査期間は5月17日~31日。有効回答数は115人で、男性が61人、女性が54人だった。男性の学年の内訳は男性1年が31人、2年が19人、3年が7人、4年が4人だった。女性は、1年が36人、2年が12人、3年が5人、4年が1人だった。なお、調査数の数字はすべて小数第一位を四捨五入した。