アジア太平洋ビジネススクール協会会長に就任した河野教授
アジア太平洋ビジネススクール協会会長に就任した河野教授

先月1日に、慶應義塾大学ビジネス・スクール(KBS)校長である河野宏和教授が、日本人として初めてアジア太平洋ビジネススクール協会(AAPBS)会長に就任した。

AAPBSは、アジア・太平洋地域において、マネジメント教育と研究の質向上を目的に約140の学校や組織を統括する連合体。河野教授は就任後の方針として以下3点を挙げた。一、長期性や人間同士の関係性を軸に据えたアジア的マネジメントの模索。二、地域内の先進国が率先して地域全体の教育格差是正を支援し、アジア・太平洋発のマネジメント人材を育成していくこと。三、高齢化や環境問題等に早期から直面した国々のリーダーシップによる、地域横断的な社会問題解決を目指す研究だ。

アジア的なマネジメントの在り方については、経営において金銭面を重視する欧米のビジネススタイル以外にも大事な視点があるとした。ケースセンターを設置し、事例研究を蓄積してアジア的マネジメントのメカニズムを解明、発信していくと意気込む。

次に挙げられるアジア・太平洋地域発の人材育成では、アジアに限らず世界中で活躍できるリーダーの育成を目指す。国際会議でも積極的に自らの信念やビジョンを伝えることができ、国や文化の違いを理解した上でその多様性を活用していけるリーダーの育成を率先していくという。

3点目に挙げられる社会問題の解決を目指す研究は、先に問題に直面した先進諸国の義務であると河野教授は言う。自国だけで解決することが困難な国のために、先だって対策や姿勢を示していくという。

河野教授は最後に、「アジア太平洋は多くの人種を抱え一筋縄では解決策が見いだせない。しかし逆にその多様性を武器にする強みがある」とした上で、アジアの一体化を訴えた。

AAPBSはヨーロッパに対しても揺るがないバリューを確立し、組織として安定を求めず活発で挑戦的な活動を目指していくと河野教授は方針を打ち出した。