3月8日~10日に演劇研究会(慶大公認学生団体)3月公演『願い』が日吉キャンパス塾生会館で行われる。人間ではない「ある存在」を描く団体オリジナルの脚本を上演する。公演の企画責任の由比将大さん(法4)、脚本・演出を務める須貝真美子さん(法4)、舞台監督の御幸怜史さん(文2)に話を聞いた。

 

試行錯誤して書いた『願い』

長い脚本を書くのは初めてという須貝さん。劇研員(同会会員の通称)から広く意見を集めて脚本をブラッシュアップしてきた。「私はこれまで主に役者をやってきたためスタッフの知識不足があった。そこで『脚本を読む会』や通し練習(仮の脚本を役者が実際に演じる練習)を重ね、多くの劇研員から意見をもらった」

 

演劇研究会3月公演『願い』チラシ

 

人間ではないものを描くという設定には苦戦した。劇研員からは「何が一番見せたいものなのか分からない」という厳しい意見もあったという。しかし、改稿を繰り返す中で「彼らが生きている様子をただ見てほしいと思うようになった。彼らの感情の機微を見せる劇を作り、お客様が自分とは相いれない何かとするのではなく、自分の身近な何かと重ねてくれたら」と話す。

 

劇研内の雰囲気が「良い作品」の鍵

劇研ではいくつかのセクションが分業している。「様々な個性が集まって、意見を言い合う環境」と御幸さん。例年この時期には「卒業公演」と銘打つ公演を行っているが、本公演は「卒業」は掲げていない。企画責任の由比さんは「公演は1年生から4年生みんなで作り上げたい。卒業生への忖度が生まれるような雰囲気ではなく率直に意見を言い合えるような環境を目指すことが、作品を良いものにするために重要」と話す。

通し練習に見入る劇研員【画像=提供】

 

この公演で卒業となる4年生は、コロナ禍の影響を大いに受けた世代。「出会うことが不要不急とされた時代に、出会うことなしに作れない演劇を作ろうと集まったのが私たちだった。上演するということ、お客様に作品を届けるということの重要性を強く実感した」と由比さん。須貝さんは「初めて演劇を観る方にも、見慣れている方にも楽しんでいただける作品作りを目指しているので、ぜひ観に来て」と呼び掛けた。

 

公演詳細は演劇研究会X/Instagram(@keio_gekiken)。公演予約はこちら

 

野宮勇介