昨今は「冷え症」が深刻な現代病として取り上げられている。しかしその名が広まる一方で、正しい対策まではあまり認知されていないようだ。

冷え症の本質と対策を探るべく、今回は日本初の「冷え症外来」を開き、冷え症治療の第一人者として知られる渡邉賀子氏にお話を伺った。

冷え症は、熱をつくりだして体の末端まで伝え、最終的に保持するという流れが体内のどこかで阻害されることで引き起こされる。ここには体質だけでなく生活習慣が深くかかわっている。

女性に多い例として、無理なダイエットや運動不足が挙げられる。多くの熱を作る筋肉や保温効果のある脂肪が減ることで、基礎代謝が下がり、体温も保持することができなくなるそうだ。「男性に比べて筋肉量の少ない女性こそ筋トレが必要。階段の上り下りなど、日常の中でこまごまと動くことから始めてほしい」と渡邉氏は話す。

また、「朝の欠食は大きな要因の一つ。起床時は体温も代謝も低いため、朝食を抜くとエネルギーが十分に取れず、体温が上がらないまま午前中を過ごすことになります」

さらに、「闘うモード」の交感神経と「リラックスモード」の副交感神経からなる自律神経のバランスがストレスなどで乱れると、末梢の血液循環が悪くなり、冷えてしまうことに。そして夜型の生活も冷え症に拍車をかける。「夜遅く夕食を食べたり夜中まで起きていると、交感神経が緊張して手足は冷たく、深部体温は高いままで熟睡できない。胃腸や肝臓などの内臓が休めないため、疲労がたまってしまう」と渡邉氏。

膠原病(こうげんびょう)や甲状腺機能低下症、低血圧、貧血、血管の病気などの一症状として冷えが引き起こされることもあるという。また、冷え症で苦しむ人は疲労感や頭痛・めまい・下痢など他の症状を持ち合わせていることが多い。渡邉氏は「冷えを取り除くことで他の症状を和らげたり、疾患予防につながる可能性もある」と指摘した。

冷えを取り除くには体の内部と外部の両方から温めることが必須である。外から温める方法として渡邉氏は、リラックスできる入浴を薦めている。「肌が心地よさを感じる38―40度のお湯に入ると、血流が良くなって芯まで温まる。それ以上の温度だと、皮膚の表面しか温まらず、風呂上がりには湯冷めしてしまう」

そして体の内面から温まるには、消化が良く、温かいものを食べるのが効果的。「これからの季節には鍋料理がおすすめ。野菜と良質なたんぱく質がしっかりと摂れ、生姜などの薬味が体を芯から温めてくれる」と渡邉氏は話す。

今年は節電ムードの中冬を迎える。大人数で温かい鍋を囲んで食事をすれば、節電の冬も楽しく乗り越えられるのではないだろうか。(片岡航一)