プロ編集者による審査も

「この想いを本にして他の人にも伝えたい」と考えたことはないだろうか。実際に企画にまとめ、出版社に持ち込んだところで、なかなか相手にしてもらえないのが現実である。
しかし、出場することでプロの編集者に見てもらうことができ、魅力を先方にも感じてもらえれば、出版する機会を手にすることができる大会がある。その名も出版甲子園。今年で第6回を迎える。
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出甲子園は、毎年夏に全国の学生を対象に本にしたい企画を募集し、書籍化までをサポートしている。企画のジャンルは不問。一人何企画でも、また個人ではなくグループでの応募も可能である。
企画を集めた後、一次から三次選考を行い、12の企画に絞られる。この審査段階から、出版甲子園実行委員のみならず、1000人を超えるプロの編集者の目も入る。
それほど多くの編集者を交えることが可能なのは、NPO法人 企画のたまご屋さんがイベントに共催しているからである。企画のたまご屋さんは、登録しているおよそ300社の出版社と1000人の編集者にメールを通して本の企画を卸している。出版甲子園ではこのシステムを使い、多くの編集者に学生発の企画を見てもらっている。
審査を通過した上位企画は決勝大会に進み、編集者や書店員の前でプレゼンテーションを発表。編集者の目にとまった企画は、賞に関係なく出版のオファーを受ける場合があり、過去5回の大会で、11冊の本が出版化されている。
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大会を運営するのも学生。インカレ学生サークルの出版甲子園実行委員会である。今大会の実行委員長を務める長谷川諒さん(経2)にお話を伺った。
慶大だけでなく東大、早大などの学生から構成される実行委員は、各セクションに分かれて活動しているほか、選考に向けて審査の練習を兼ねた勉強会も開いている。
本の魅力を、「一番濃くて正確な情報を伝えられる媒体であること」と表現する長谷川さん。元から本が大好きで、本に精通しているメンバーが多いが、活動を通して本の見方が変わったという。
「売れ筋ランキングや新刊のチェックはもちろんのこと。本を手に取る時、目次や奥付も意識的に見るようになった」
今大会のコンセプトは「お前を読ませろ」。「企画者がいるからこそ企画が存在する。企画者のポテンシャルを発揮してほしい」と語る長谷川さん。「伝えたい相手、つまり読者を意識してまとめると、より良い企画になると思う」とアドバイスを送る。
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企画の募集は8月6日まで。11月14日に都内で決勝大会が行われる。少しでも興味のある人は、出版オファーを狙って、挑戦してみてはどうだろうか。
(入澤綾子)
出版甲子園HP
http://spk.picaso.jp/2010/