《東京いろは》泉麻人さん流「東京の遊び方」

東京いろは

泉麻人さん(本は、10月に出版された「東京23区外さんぽ」)

「大東京23区散歩」など、東京の地理や歴史を交えたエッセイを数多く世に出している塾員、泉麻人さん(62)。東京の魅力や歩き方について聞いた。(構成=山本啓太)

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小学生の時から、地図を買って街を調べるのが好きだったので、街の景色には敏感でした。

私は三田にある中等部から慶應に入ったのですが、当時(1969年)は三田周辺にも都電が走っていました。時代はオリンピック前後の再開発が行われていた頃で東京の景色の変わり目でした。慶大に進学する頃には、都電は姿を消していました。

東京は、開発によって街並みが移ろっていくことが、街自体の魅力につながると思います。古い建物があまり残っていないことは致し方ないところがある。日本は地震が起きるからね。
そういった背景からヨーロッパとは異なり、消えた街並みに郷愁を覚えるような文化が生まれたと思います。

例えば僕は昭和20~30年代の小津安二郎や成瀬巳喜男の映画を見ながら、登場してきた場所を特定していく遊びを20年くらいやっています。お店の看板などを静止画にして読み込んで観察すると町名が分かります。そして映画の時代と同じ住宅地図を図書館で調べると具体的な場所を特定することができます。発見したときは、刑事になったような面白さがあるね。こういった趣味は、イタリアのフィレンツェに生まれたらできない。

20代は20代なりの歩き方があると思います。下敷きがアニメでも良い。アニメで忠実に再現された風景を探す、聖地巡礼が流行っていますからね。

バス停を巡るのも面白いです。消えた町名がそのまま使われていたり、町名が示したものは現存しないけれど、地域名として残っている名前 があったりします。郊外に見られる「火の見下」というバス停は、農村時代のシンボルだった火の見櫓があったことから付けられています。このように、停留所の名前からその土地の歴史を知ることができます。

東京は「坂の街」。山の手は、山が入り組んで人の手のような丘陵地帯になっているから名付けられました。

東京の面白さは、起伏があり景色に富んでいるところ。京都や大阪は碁盤の目だけど、渋谷は道がくねくねしているから散歩していて面白いね。


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