《Jリーグ25周年》海外に学ぶJリーグの立ち位置 知的戦略でレベルアップ

Jリーグ25周年

日本のサッカーは、世界へと目を向け進歩してきた。その中で、プロのリーグとして機能を果たすJリーグはどのように歩み、この先どこへ向かうのか。そのヒントをスペインサッカーに詳しいサッカージャーナリストの小澤一郎さんに尋ねた。

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Jリーグの誕生、つまりプロサッカー選手の誕生が及ぼしたインパクトの一つは、外国人選手や監督が日本に来たという点だと小澤さんは言う。現在、経済力規模で中国がアジアサッカーでは群を抜いているが、ヴィッセル神戸のルーカス・ポドルスキ選手をはじめ、日本でプレーする外国人選手は今も多くいる。小澤さんによれば、家族で移住しても安心できるような治安のよさや文化レベル、ホスピタリティで日本を選ぶサッカー関係者も多いという。金銭面でない日本の魅力を彼らは感じているのだ。

Jリーグの存在は、「子供のころからプロサッカー選手になりたいと言える環境をつくったり、日本でプレーして海外リーグに行ってもある程度適応しやすくなったりするという点で大きい」と小澤さん。しかし、今後世界で強豪を目指すには、10代から海外に出て若いうちにUEFAチャンピオンズリーグなどを経験しなければ難しいとも言う。質の高いサッカーを経験し、身につけることは不可欠だ。

こうなると、「育成」は一つのキーワードとなるだろう。スペインでは20~30年スパンでの選手・指導者の育成システムの発達が、近年の世界大会制覇といった成果をもたらしたと、小澤さんは分析している。あるクラブでは、プロクラブが頂点となり、地域ごとに育成のピラミッドを敷いている。提携したクラブは、プロの良質な指導メソッドを共有しつつ、優れた選手がいるとより上のカテゴリーに移籍させる連携をとる。プロクラブは引き抜きをする代わりに、環境整備のための資金や道具の支援を与える制度がある。一方、日本ではまだ十分な育成システムが発達しているわけではない。「優れた選手をプロのクラブにあげたことで、自分たちのクラブをよくする環境ができれば、よい循環が生まれると思います」と小澤さんは語る。

また、小澤さんはJリーグのレベルを向上させるには、「レベルの高い外国人監督を海外から呼ぶ」必要があると指摘する。J2では東京ヴェルディのミゲル・アンヘル・ロティーナ監督などの成果を上げた例がある。「せっかく優秀な監督が海外にいるのに連れてこないのは、Jリーグにとって一番足りないところだと思います」。世界の監督にあまり日本が目を向けていないのが現状だ。うまくチームに合わない、結果が出ないといったリスクもあるが、思い切った採用や目利きの精度が必要とされている。
「サッカーは知的なスポーツ」。いまだフィジカルを重視する選手も多いが、データ分析の進歩により、頭で考えるサッカーでなければ通用しない時代が欧州には訪れている。小澤さんはサッカーを伝える役割として、知的であることをもっと訴えたいと話す。頭を使うからこそのサッカーの奥行きを見る側に伝える、Jリーグもますますそうなる日が近いのではなかろうか。

(杉浦満ちる)

小澤一郎(おざわ・いちろう)

サッカージャーナリストとして活躍中。情熱的で攻撃に持ち味があるスペインサッカーに魅力を感じ、バレンシアに5年間滞在。指導者を目指した経験を持つ。指導者の目線を活かし戦術や知的な駆け引きに注目することを心がけているという。

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