初夏の憂鬱 五月病の実態とその対策

GW明けのこの時期、新入生や新入社員は「五月病」にかかりやすい。ちまたで耳にするこの病名。いったいどのような病気だろうか。慶大医学部精神・神経科学教室の宗未来助教(取材当時)に話を聞いた。

宗先生によると、「五月病」とは俗称だという。医学的には、適応障害や、うつ病と診断される。症状は、「考え方、行動、感情、身体」の変調。睡眠や食欲の異常、いら立ち、疲労や無気力はその例だ。

原因は新しい環境への不適応、個人の問題(性格など)、環境の問題(劣悪な環境など)、ミスマッチ(理想と現実の乖離など)と様々。4月、新しい環境に身を置いたはいいものの、うまく折り合いがつかず、五月病に陥ってしまうのだ。心当たりがある方は疑ってみてよい。今はネットでより簡易なチェックが可能だ。

では五月病にかかった場合どうすればよいか。

対処法は、問題と向き合う、問題から逃げる、気分転換をしつつ問題に付き合う、の3種類がある。だが一つだけに頼ると、新たな問題を引き起こしかねない。ノイローゼや、引きこもり、アルコール依存症、買い物依存症などになる可能性がある。三つのバランスを保つことが大事だ。

五月病は、治療が必要な事態にもなりうる。自分でコントロールが利かなくなったら、自己対処に固執しすぎず、専門家に相談するのが肝要だ。周囲は、仲間内で解決するには、困難が伴うことを意識しておくべきだ。場合によっては、関係決裂の恐れがある。相談に乗るのは自分に余力がある程度まで。無理が出てきたら専門家を頼る。また、自己対処が成功しても不適応の原因を解決しなければ、五月病は繰り返す。宗先生は「コグニション(cognition)、コンダクト(conduct)、コミュニケーション(communication)」の頭文字をとった三つのCを鍛えるとよいという。コグニションとは考え方で、ポジティブ、ネガティブ双方に偏らないようにする。コンダクトとは行動で、ペース配分、問題解決法を見直し、運動をすることを意識するとよい。コミュニケーションはもちろん周囲とのやり取りだ。

五月病で大切なのは、一人や少人数で抱え込まないこと、自己対処が無理だと思ったら専門家に頼ることだ。放っておくと重症化することを意識し、対処してもらいたい。

(伊藤周也)


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