慶應塾生新聞会 三田オフィス
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リノベーションの魅力 人々の交流の場に

「リノベーション」という言葉をご存じだろうか。広辞苑においては、「修理・修復すること、改善すること」と定義されている。極力既存のものをそのままの形で残すという点に、その特徴がある。

「数年ほど前から、既存の古い建物をリノベーションして、新たな価値を与えるというブームが続いていると思う」。そう語るのは、「fukadaso」の管理人である佐藤奈美さんだ。「fukadaso」は約50年前に造られたアパートで、一時は解体寸前であったが、リノベーションによって新たに生まれ変わった。現在、建物内に数店のテナントが入り、複合商業施設として経営されている。彼女自身も建物の一階でカフェを営業している。

実際、近年東京都内では民家や倉庫、廃工場を再利用したカフェや書店が増えている。その証拠として「fukadaso」の完成後、そのリノベーションを担当した会社には、リノベーションを検討していたほかの商業施設からの問い合わせが殺到し、半年先まで予約が埋まった。

所々サビのあるトタンの外装

「もともと誰かが使いこんでいたものとして味がある」と佐藤さんは普通の建物とは異なる魅力を語る。新しいものはいつでもつくれるが、古いものは壊したら終わり。「リノベーション」は元の建物の資材を再利用して、無駄なく使うことができ、本当にレトロな良いものが残せるのだ。

しかし、古い建物であるため、本当に安全なのか。このような声があるかもしれないが、心配はいらない。もともとリノベーションの目的の一つには、耐震補強も含まれるそうだ。佐藤さんが「fukadaso」のリノベーションを行ったのも、東日本大震災がきっかけだったという。

佐藤さんにとって「リノベーション」とは何か。

彼女は、今あるものを残していく手段として有効なものと答える。さらに、リノベーションが空き家対策のために、より広く一般の人に用いられてもいいのではないか、と強調した。

彼女は、「fukadaso」が人々の交流の場として栄えることを信念として、その管理を行う。カフェの経営はその手助けになればということで始めたそうだ。都会の生活では忘れがちな、ご近所付き合いのような古き良き慣習、それを思い出させてくれる空間。「リノベーション」は建物のみならず、人と人とのつながりの修復も含むのではないだろうか。
(曽根智貴)