「新川崎(Kスクエア)タウンキャンパス」。耳慣れない名称だが、慶大のタウンキャンパスは新川崎と山形県鶴岡市の2ヶ所にある。タウンキャンパスは一体どんなところなのか。今回は新川崎タウンキャンパスについて取り上げる。

新川崎駅前の再開発地域に位置する緑豊かな同キャンパスでは、科学の先端研究と応用が進んでいる。

「慶大の学生と教員研究者との間の自由な気性から生まれたキャンパス」。そう気さくに語るのは、真壁利明常任理事だ。

21世紀を拓くのは科学だという思いから新川崎タウンキャンパスは2000年に開設された。慶大は新川崎キャンパスを6つのキャンパスとは別の学際的研究の場とする一方、川崎市は研究拠点を提供し技術の産業移転を進める。地域産業と大学研究を融合させることが同キャンパスの目的だ。

現在19のプロジェクトが矢上・日吉・湘南藤沢・三田所属の教員が代表となり進行中で、研究者は施設の費用を支払い、他所からの予算も受け入れて研究を進める。

予算規模こそ国立の研究大学に劣るが、「自由と進取の学風」が慶大にはあると真壁氏はいう。長年にわたり理工学部で学生と過ごし、慶大には他の大学より、新たな視点や発想を持った研究者が生まれやすい印象を抱いたそうだ。

真壁氏は自身を含め教員は「半学半教」の精神のもと学生から多くを学んできたと語る。自由な学内の雰囲気が研究の発展へつながっているのだという。

同キャンパスは研究者向けであるため、残念ながら一般の学生が関わることは難しい。しかしオープンキャンパスやオープンセミナー、ビジネス交流会などさまざまなイベントを通じて学内外との交流を図っている。関心のある塾生はぜひ参加してほしい。

新川崎タウンキャンパスでは、隣接するNANOBIC、KBICとも連携した、次世代医療通信やスマートグリッドなど、生活を一変させる素晴らしい研究が行われている。慶大発の技術が私たちの生活を豊かにするなら、塾生として幸せなことだろう。 (清重太希)