子宮頸がんの危険性を語る高田氏
近年20―30代の女性に子宮頸がんが増加しており、日本では1日に約10人が子宮頸がんで亡くなっている。そうした中、一昨年から子宮頸がんを予防するワクチンが認可され接種が広まってきた。注目を浴びる子宮頸がんだが、塾生にも身近な問題であることをご存じだろうか。

 子宮頸がんは、進行すれば子宮摘出の可能性もあり妊娠や出産、さらには命をも脅かしかねない恐ろしい病気である。ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染が原因で起こるが、このウイルスは皮膚や粘膜に存在するごくありふれたウイルスだ。種類は100種以上あるものの、子宮頸がんの原因となるものはそのうちの15種ほどであり、「発がん性HPV」と呼ばれる。発がん性HPVは主に、性交渉によって感染する。ただし、HPVはどこにでも存在するウイルスであり、相手の男性に関係なく誰でも感染しうるところがいわゆる性病とは全く異なる。

 ワクチンでは、そのうちさらにがん化しやすい2種類の発症を予防することができる。予防率は決められた3回の接種で70―80%にもなるという。しかし、全てのHPVの感染を防ぐものではないため、定期検診の受診も欠かせない。

日吉協生館の日吉メディカルクリニック院長である高田哲也氏によると、子宮頸がん予防ワクチンには副作用はほとんど見られないという。ただし、筋肉内に注射をするため、軽い筋肉痛を経験する人は多い。また、筋肉に注射することのショックで一時的に失神してしまう人もまれにいるので接種後しばらくはクリニック内で休んでもらっているという。

  同じくワクチンについての誤った認識として、「一度性体験をしてしまったら、ワクチンを接種しても意味がない」というものがある。これについて高田氏は、「性体験を済ませる前に接種することが最も望ましいが、性交渉によって発がんするウイルスにいつ感染するか分からないので接種に遅すぎることは決してない」と語る。

特に女子大生は発症のピークである20―30代を控えている。ワクチンは、半年間に3回の接種で合計5万円程度。日吉メディカルクリニックでは学生割引も実施しており、予約なしで接種を受けることができる。大学生にとっては、決して手頃とは言えない費用ではあるものの、大切な人生と命を守るためにも接種を強く勧めたい。
       (吉田遥)